肥満に悩む方々にとって、効果的な対策の選択肢は多いようで少ないのが現状です。

その中でも「ゼニカル」は日本では特殊な位置づけながら、脂肪吸収を抑制する特有の作用機序で注目を集めています。
本記事では、ゼニカルの効果から副作用、適切な使用法まで徹底解説します。

医療機関での処方を前提としたダイエット薬ですが、その特性を正確に理解することで、より安全かつ効果的に活用できるでしょう。
服用を検討されている方はもちろん、すでに使用中の方も、この機会に正しい知識を身につけてください。

ゼニカルとは?

ゼニカルは肥満治療に用いられる医薬品で、メディカルダイエットの選択肢として位置づけられています。

有効成分オルリスタットを含有し、脂肪分解酵素「リパーゼ」の働きを阻害することで食事から摂取した脂肪の消化管からの吸収を抑制します。
スイスの製薬会社ロシュ社によって開発され、世界100カ国以上で使用されている薬剤です。

重要な点として、日本国内においてゼニカル(オルリスタット120mg)は肥満治療薬として承認されておらず、開発は2005年に中止されています。
一方、低用量のオルリスタット60mgを含む「アライ」は日本で要指導医薬品として承認されており、薬剤師による指導のもとで購入可能です。

両者は含有量と規制上の位置づけが異なるため、利用を検討する際は正確な情報把握が必須といえるでしょう。

ゼニカルの有効成分オルリスタットとは

ゼニカルの有効成分オルリスタットは、消化管リパーゼ阻害剤として分類される薬剤です。

その主な作用機序は、消化管内、特に胃や膵臓から分泌される脂肪分解酵素「リパーゼ」の働きを選択的に阻害することにあります。
リパーゼは食事由来の脂肪(トリグリセリド)を吸収可能な形(脂肪酸とモノグリセリド)に分解するために不可欠な酵素です。

オルリスタットがリパーゼに結合し活性を失わせることで、脂肪の分解が抑制され、結果として食事から摂取した脂肪の消化管からの吸収が妨げられます。
この作用は主に消化管内で発揮され、体内に吸収される量は少ないため、全身への影響が比較的少ないとされています。

アメリカ食品医薬品局(FDA)は1999年に、欧州医薬品庁(EMA)は1998年に処方薬として承認していますが、日本では120mg製剤は未承認のまま、低用量の60mg製剤「アライ」のみが要指導医薬品として承認されています。

メディカルダイエットにおける役割

ゼニカルは医療機関が提供する減量プログラム、すなわちメディカルダイエットにおいて「脂肪吸収抑制剤」というカテゴリーで用いられる薬剤です。

クリニックでは食欲抑制剤(サノレックスなど)、GLP-1受容体作動薬(リベルサス、オゼンピックなど)、糖質吸収抑制剤(アカルボースなど)といった、異なる作用機序を持つ他の薬剤と並列で選択肢として提示されることが一般的です。

ゼニカルが特に推奨されるのは、脂質の多い食事を好む方、外食が多い方、夜遅い時間の食事が多い方、あるいは厳しい食事制限や運動が苦手な方です。
その作用機序から、炭水化物の過剰摂取が主な肥満原因である場合には効果が限定的となる可能性があります。

重要なのは、ゼニカルは単独で劇的な効果を発揮する薬ではなく、食事療法や運動療法といった生活習慣の改善との併用が不可欠である点です。
ゼニカルを服用していても総摂取カロリーが消費カロリーを上回れば体重減少は期待できません。

多くのクリニックではゼニカルをメディカルダイエットプランの一部として組み込み、治療開始前には医師によるカウンセリング、BMIなどの評価、そして個々の状況に応じた治療計画を立案します。

ゼニカルの効果:脂質吸収抑制のメカニズム

ゼニカル(オルリスタット)は食事に含まれる脂肪の吸収を物理的に抑制することで体重減少をサポートします。

その効果は薬理学的に明確なメカニズムに基づいており、臨床試験でも有効性が確認されています。
具体的には脂肪分解酵素「リパーゼ」の働きを阻害することで、摂取した脂肪の約30%の吸収を抑制します。

この作用は炭水化物やタンパク質の消化吸収には直接影響せず、脂肪に対して特異的です。
消化されなかった脂肪は体内に吸収されることなく便と共に排出され、これが特徴的な副作用である「油漏れ」などの原因にもなります。

医療機関での処方が必要なゼニカル(120mg)は、薬局で購入可能なアライ(60mg)より強力ですが、いずれも適切な食事・運動療法との併用が効果を最大化する鍵となります。

リパーゼ阻害作用

オルリスタットの主たる薬理作用は、消化管内に存在する脂肪分解酵素、特に胃リパーゼと膵リパーゼの活性を阻害することです。

食事から摂取された脂肪(トリグリセリド)は、通常これらのリパーゼによって脂肪酸とモノグリセリドに分解され、小腸から吸収されます。
オルリスタットは消化管の管腔内でこれらのリパーゼの活性部位に結合し、酵素を不活性化させます。
これにより脂肪の分解プロセスが阻害され、脂肪は吸収されにくい未消化の状態で消化管を通過することになります。

この作用は脂肪に対して特異的であり、炭水化物やタンパク質の消化吸収には直接的な影響を与えません。
作用の程度については、ゼニカル(オルリスタット120mg)を服用した場合、食事から摂取した脂肪の約30%の吸収が抑制されると広く報告されています。

一方、低用量のアライ(オルリスタット60mg)では約25%の脂肪吸収が抑制されるとされています。
この「脂肪吸収を約30%カット」という数値は正確に理解する必要があります。
これは摂取した「食事中の脂肪」の約30%であり、総摂取カロリーの30%ではありません。
また既に体内に蓄積された脂肪を燃焼させる効果はありません。

体内での脂肪排出プロセス

オルリスタットによって消化吸収が阻害された脂肪は、消化管をそのまま通過し、最終的に便とともに体外へ排出されます。

この脂肪の排出は通常、脂肪を含む食事を摂取しゼニカルを服用した後、24時間から48時間以内に起こります。
排出される脂肪は、しばしば便の中に目に見える形で現れます。

具体的には、油そのものが便と一緒に出る、便の表面に油が浮く、肛門から油が漏れ出す(オイリースポッティング)といった形で観察されます。
油の色は摂取した脂肪の種類にもよりますが、「黒や茶色の油」、「ラー油のような物」、「ごま油のような茶色い油」などと表現されています。
この「目に見える効果」は薬剤が作用していることの直接的な証拠となり、利用者にとってはダイエット継続のモチベーションにつながる可能性があります。

しかしながらこの脂肪排出プロセスは、ゼニカルの最も一般的で時に厄介な副作用の直接的な原因でもあります。
目に見える脂肪排出は薬効の現れである一方、油漏れ、脂肪便、頻繁な便意、下痢といった不快な症状と表裏一体の関係にあります。

これらの症状の程度は摂取する脂肪の量に大きく左右されるため、副作用を管理し薬剤の服用を継続するためには食事中の脂肪量を適切にコントロールすることが極めて重要となります。

臨床試験データ(平均体重減少量)

ゼニカル(オルリスタット120mg)の有効性は、数多くの臨床試験によって検証されています。

これらの試験では一貫して、適切な食事療法や運動療法といった生活習慣の改善と併用した場合、プラセボ(偽薬)と生活習慣改善の組み合わせと比較して、統計的により有意な体重減少効果が示されています。

主要な臨床試験の結果としては、米国のプライマリーケア施設での試験(1年間)でプラセボ群は平均4.26kg減少に対し、オルリスタット120mg群は8.78kg減少しました。
スウェーデンでの試験(1年間)ではオルリスタット120mg群は平均5.9%の体重減少を示したのに対し、プラセボ群は4.6%でした。

特に注目すべきXENDOS試験では、BMI 30以上の3,305名を対象とした4年間の大規模試験において、オルリスタット群はプラセボ群より有意に大きな体重減少を達成(試験完了者平均:オルリスタット群 5.8kg vs プラセボ群 3.0kg)しました。
さらに2型糖尿病発症予防効果も示され、オルリスタット群ではプラセボ群と比較して4年間での2型糖尿病の累積発症率が37.3%有意に減少しました。

体重減少効果が現れるまでの期間としては、服用開始後2~3週間で体重が減り始め、その効果は通常、半年から1年程度持続するとされています。
一部では2年間の継続使用でも効果が認められたとの記述もあります。

ゼニカル(オルリスタット120mg)主要臨床試験における体重減少結果

試験参照 期間 対象集団 (BMI, 特徴) オルリスタット120mg結果 プラセボ結果 比較/備考
米国プライマリーケア 1年 30-44, 一般肥満 -8.78 kg -4.26 kg 差: 4.52 kg
スウェーデン 1年 28-38, 合併症あり -5.9% -4.6% %体重減少
EC MRCT 約582日 30-43, 2型糖尿病 -6.72 kg -3.79 kg 差: 2.93 kg
中国 24週 ~32, 肥満 -7.5% -3.7% %体重減少
Fit.clinic引用 1年 海外試験 -6.1 kg N/A 平均値
XENDOS 4年 ≥30, NGT(79%)/IGT(21%) -5.8 kg (完了者) -3.0 kg (完了者) 差: 2.8 kg; 糖尿病リスク37.3%減
5剤メタ解析 1年 ≥27(過体重)/≥30(肥満), 併存疾患あり -2.6 kg (vs プラセボ) N/A 他剤より効果低位; 5%減:44%, 10%減:20%

(注: 結果は平均値。全ての試験で生活習慣改善が併用されています。)

ゼニカルの副作用と注意点

ゼニカル(オルリスタット)を服用する際には、その作用機序に起因する特有の副作用があることを十分に理解しておく必要があります。

最も頻度が高いのは油漏れや脂肪便といった消化器系の症状で、これらは薬が効いている証拠でもありますが、日常生活に支障をきたす場合もあります。
稀に重篤な肝機能障害などの危険な副作用も報告されているため、医師の定期的な診察と適切な管理が不可欠です。

また妊娠中の方や特定の疾患を持つ方は使用できないほか、シクロスポリンやワルファリンなど特定の薬剤との併用には注意が必要です。
脂溶性ビタミンの吸収も阻害されるため、サプリメントによる補充も検討すべきでしょう。

主な副作用(油漏れ、下痢など)

ゼニカルの副作用の多くは消化器系に関連しており、脂肪の吸収を阻害するという薬理作用の直接的な結果として現れます。

最も特徴的で頻度が高いとされる症状は、油漏れ(意図せず肛門から油性の分泌物が漏れ出す現象)、脂肪便・油性便(便に油が混じったり、便自体が油っぽくなったり)、放屁(ガス)に伴う排出(おならと一緒に便や油が漏れ出る)、排便回数の増加、便意切迫(急に強い便意を感じ、我慢が難しくなる)、軟便・下痢、便失禁(便や油を漏らしてしまう)、腹痛・腹部不快感、悪心(吐き気)などです。

これらの副作用の発生頻度は、XENDOS試験ではオルリスタット群の91%が何らかの消化器系有害事象を経験したと報告されており、かなり一般的であると考えられます。
特に治療開始初期に現れやすく、服用を継続するうちに軽減・消失することもあります。

副作用の程度は食事に含まれる脂肪の量と強く相関しており、高脂肪食を摂取した後に顕著に現れやすくなります。

副作用への対処法としては、食事中の脂肪摂取量を減らす、吸水パッドやナプキンの使用、服用タイミングの調整、トイレの準備(排便時に便器が油で汚れるのを防ぐためトイレットペーパーを敷いておく)などが挙げられます。

キトサンサプリメントの併用が油漏れを軽減する可能性も示唆されていますが、その有効性に関する確固たるエビデンスは限定的です。
副作用の持続期間については、服用を中止すれば通常2~3日程度で油分の排出はなくなるとされています。

重篤な副作用(肝障害など)

一般的な消化器系の副作用に加えて、稀ではありますが、より重篤な副作用のリスクも報告されています。

重篤な肝機能障害については、ゼニカル(オルリスタット)使用者において稀に重度の肝障害が発生したとの報告があります。
アメリカFDAは2010年にこのリスクを評価し、関連が疑われる13例の報告を確認しましたが、オルリスタットが直接の原因であるとは断定できないと結論付けています。

しかしリスクが完全に否定されたわけではありません。
症状としては、皮膚や白目が黄色くなる(黄疸)、皮膚のかゆみ、食欲不振、濃い色の尿(琥珀色)、薄い色の便、右上腹部の痛みなどが挙げられます。
これらの症状が現れた場合は直ちに医師に相談する必要があります。

腎機能障害については、脂肪の吸収不良が続くことでシュウ酸の吸収が増加し、腎臓にシュウ酸カルシウム結石が形成されやすくなる(シュウ酸腎症)ことによる腎機能障害のリスクが指摘されています。
症状としては、足のむくみ、尿量の減少・尿が出ない、頻尿や排尿痛、血尿、食欲不振、吐き気・嘔吐、背中・腹部・鼠径部の激しい痛みなどが挙げられます。

胆石症については、特にBMIがそれほど高くない人が使用した場合などに胆石のリスクが高まる可能性が示唆されています。
症状としては右上腹部の痛み、吐き気、嘔吐などが挙げられます。

禁忌・併用注意薬

ゼニカル(オルリスタット)の使用が禁忌(使用してはいけない)とされる、あるいは慎重な判断や注意が必要となるケース、および併用に注意が必要な薬剤が存在します。

禁忌(使用できない方)としては、妊娠中または妊娠している可能性のある女性、授乳中の女性、慢性吸収不良症候群の方、胆汁うっ滞(胆汁の流れが悪くなっている状態)の方、オルリスタットまたは製剤に含まれる他の成分に対して過敏症(アレルギー)の既往がある方、18歳未満の方(アライの添付文書に基づく)、甲状腺機能低下症など他の病気が原因の肥満(器質性肥満)の方、神経性食欲不振症(拒食症)や過食症の方が挙げられます。

アライ(60mg)の購入に関しては、BMI 35以上の方、またはBMI 25以上35未満で特定の健康障害(耐糖能異常、脂質異常症、高血圧など)を有する方は薬局での購入対象外となり、医療機関の受診が推奨されます。

併用注意薬(飲み合わせに注意が必要な薬)としては、シクロスポリン(免疫抑制剤)、レボチロキシン(甲状腺ホルモン剤)、ワルファリンなどの抗凝固薬(血液を固まりにくくする薬)、アミオダロン(抗不整脈薬)、抗てんかん薬、抗うつ薬、抗精神病薬、抗HIV薬、経口避妊薬(ピル)などがあります。

栄養素との相互作用(脂溶性ビタミン)については、オルリスタットは脂肪の吸収を阻害するため同時に脂溶性ビタミン(ビタミンA、D、E、K)の吸収も妨げてしまいます。
特にβ-カロテン(ビタミンA前駆体)とビタミンEの血中濃度低下が指摘されています。

ゼニカルの使用方法と服用ガイド

ゼニカル(オルリスタット120mg)の効果を最大限に引き出し、安全に使用するためには、正しい用法・用量を守ることが不可欠です。

この薬剤は食事中または食後1時間以内に服用するタイミングが特に重要で、脂肪を含まない食事の際には服用不要です。
通常1日3回まで服用できますが、個々の状況に応じた医師の指示に従うことが重要です。

飲み忘れた場合や一時的に服用を中断する場合にも適切な対応が必要となります。
また長期使用には定期的な医師のフォローアップが欠かせず、特に脂溶性ビタミンの補充と健康的な生活習慣の維持が治療成功の鍵となるでしょう。

用法・用量(食事との関係)

通常、ゼニカルは1回につき1カプセル(オルリスタットとして120mg)を服用します。

1日に最大3回まで服用でき、通常は朝・昼・夕の食事に合わせて服用します。

効果を発揮させるためには、服用タイミングが非常に重要です。
脂肪を含む食事の最中(食中)または食後1時間以内に服用してください。
食後1時間を過ぎてしまうと食事中の脂肪の消化吸収プロセスが進んでしまうため効果が低下します。

薬効のピークは服用後約30分とされています。
ゼニカルは食事に含まれる脂肪に対して作用するため、脂肪分を含む食事と一緒に服用する必要があります。
もし食事を摂らなかったり、その食事に脂肪分がほとんど含まれていない場合(例:野菜サラダのみ、脂肪を含まないスープなど)は、その回の服用は不要であり、スキップしてください。

処方された医師の指示に必ず従いましょう。
個々の状況や目標に応じて、服用回数などが調整される場合があります。

飲み忘れ・中断時の対応

飲み忘れた場合、食事を終えてから1時間以内であれば、気づいた時点ですぐに1回分を服用してください。

食後1時間以上経過してしまった場合は、飲み忘れた分は服用せず、次の食事の際に通常通り1回分を服用してください。
飲み忘れたからといって、次の服用時に2回分(2カプセル)をまとめて服用することは絶対に避けてください。
副作用のリスクを高める可能性があります。

自己判断で服用を中断したり、中止したり、用量を変更したりしないでください。
特に油漏れなどの副作用が理由で一時的に中断したい場合(例:旅行や特別なイベントの前)は、必ず事前に医師に相談してください。
状況によっては、予定の2~3日前から服用を中止するといった指示が出されることもあります。

自己判断での中断は効果を弱めるだけでなく、体調不良や予期せぬ反応を引き起こす可能性もあるため注意が必要です。
ゼニカルの効果は継続的な服用によって発揮されるものなので、医師の指示に従って規則正しく服用することが重要です。

継続使用のポイント

ゼニカル(オルリスタット)は、一部の食欲抑制剤(例:サノレックスは通常3ヶ月以内)とは異なり、比較的長期間の使用が可能です。

XENDOS試験では4年間の使用実績があり、2年間の継続使用でも体重減少効果が認められたとの報告もあります。
長期間使用する場合は特に、定期的に処方医の診察を受けることが重要です。

これにより、体重減少効果の評価、副作用の確認と管理、栄養状態(特に脂溶性ビタミン)のチェック、全体的な健康状態のモニタリングが可能になります。
薬の効果を持続させ、リバウンドを防ぐためには、服用中だけでなく、治療終了後もバランスの取れた食事や適度な運動といった健康的な生活習慣を維持することが不可欠です。

脂溶性ビタミン(A, D, E, K)の吸収が阻害されるため、長期使用中はマルチビタミンサプリメントの適切なタイミングでの摂取を継続することが強く推奨されます。
サプリメントの摂取タイミングも重要で、オルリスタットによってサプリメントのビタミン吸収まで阻害されるのを避けるため、オルリスタットの服用時点から少なくとも2時間以上間隔をあけて(例:就寝前など)摂取することが勧められます。

ゼニカルはあくまで脂肪吸収を「一部(約30%)」抑制する補助的な薬剤であり、摂取カロリー>消費カロリーの状態では体重は減りません。

ゼニカルの費用と入手方法

ゼニカル(オルリスタット120mg)を日本で利用する場合、その入手方法と費用は、国内未承認薬であるという特殊な状況を反映しています。

日本国内での正規の入手方法は医師による処方のみであり、保険適用外の自由診療となるため費用は全額自己負担です。
クリニックやオンライン診療により入手でき、価格はジェネリック医薬品の場合30錠6,000円から、先発品では月額3万円程度までと医療機関によって大きく異なります。

一方で薬局で購入できる低用量製剤「アライ」(60mg)も存在し、90カプセル(30日分)で8,800円程度となっています。
個人輸入には偽造品のリスクや健康被害の危険があるため、専門家による適切な処方を受けることが強く推奨されます。

クリニック・オンライン診療での処方価格

日本国内でゼニカル120mgを入手する正規の方法は、医師の診察・処方を受けることです。

これは対面診療を行うクリニック(美容クリニック、肥満外来など)または、オンライン診療(遠隔診療)を通じて行われます。

ゼニカルは医師の処方が必要な医療用医薬品に分類されます。処方価格(自由診療)については、ゼニカルは国内未承認のため保険適用外の自由診療となり、費用は全額自己負担です。

価格設定は医療機関によって大きく異なります。

保険適用の有無と自費の相場

前述の通り、ゼニカル(オルリスタット120mg)は日本で肥満症治療薬として承認されていないため、公的医療保険は適用されません。

一部、重度の肥満症に対する治療(例:サノレックス処方)で保険適用となるケースもありますが、美容目的や一般的なメディカルダイエットでのゼニカル使用は、原則として保険適用外です。

したがって、ゼニカル治療にかかる費用は、薬代、診察料、検査料など全てが全額自己負担(10割負担)となります。
費用は医療機関が自由に設定できるため、クリニック間で大きな差が生じます。

他の医薬品との比較:ゼニカル vs アライ vs 他のダイエット薬

ゼニカル(オルリスタット120mg)の効果や位置づけを理解するには、類似薬であるアライ(オルリスタット60mg)や、他の作用機序を持つ医療用ダイエット薬との比較が有効です。

ゼニカルとアライはいずれもオルリスタットを含有していますが、ゼニカルは1カプセルあたり120mgのオルリスタットを含み約30%の脂肪吸収を阻害するのに対し、アライは60mgで約25%の阻害効果があります。
効果が強い分、ゼニカルはアライよりも副作用が強く出る可能性があります。

入手方法も異なり、ゼニカルは医師の処方が必要なのに対し、アライは薬剤師による指導のもと薬局で購入可能です。

さらにゼニカルは他の作用機序を持つダイエット薬と併用されることもあります。
メトホルミン(糖質の吸収・利用に関与)やGLP-1受容体作動薬(食欲抑制作用)などとの併用で相乗効果が期待できる可能性がありますが、適切な医師の監督下でのみ行うべきです。

含有量と効果の違い (ゼニカル vs アライ)

ゼニカルとアライは、どちらも有効成分としてオルリスタットを含んでいますが、含有量とそれに伴う効果、そして日本での規制上の位置づけが異なります。

含有量の違いとしては、ゼニカルは1カプセルあたり120mgのオルリスタットを含有するのに対し、アライは60mgです。
脂肪吸収阻害効果の違いについては、オルリスタットの脂肪吸収阻害効果は用量依存的であるとされ、含有量の多いゼニカル(120mg)の方が、アライ(60mg)よりも多くの脂肪吸収を抑制します。
具体的には、ゼニカルは約30%、アライは約25%の食事性脂肪の吸収を阻害するとされています。
このため、ゼニカルの方がアライよりも強力な脂肪吸収抑制効果を持つと考えられます。

副作用の可能性の違いについては、効果が強い反面、ゼニカル(120mg)はアライ(60mg)と比較して、油漏れや脂肪便といった消化器系の副作用がより強く、あるいはより頻繁に現れる可能性があります。
特に食事中の脂肪摂取量が多い場合にその傾向が顕著になると考えられます。

入手方法と規制の違いについては、ゼニカル(120mg)は国内未承認であり、医師の判断に基づく自由診療での処方が必要です。
一方、アライ(60mg)は要指導医薬品として承認されており、薬剤師による対面での指導と、特定の条件(年齢、腹囲、生活習慣改善の実施など)を満たした場合に限り、薬局で購入できます。

他の医療ダイエット薬との併用

ゼニカルは脂肪吸収をターゲットとする薬剤ですが、他の作用機序を持つ医療用ダイエット薬と組み合わせることで、より高い減量効果を目指す治療法(併用療法)が検討されることがあります。

異なる経路からアプローチすることで、相乗効果が期待されるためです。
併用が検討される薬剤の例としては、メトホルミンがあります。
これは主に2型糖尿病治療薬として用いられますが、インスリン感受性の改善などを介して体重管理にも寄与する可能性があります。
糖質の吸収や利用に関与すると考えられており、ゼニカル(脂質吸収抑制)との併用で、脂質と糖質の両方からのエネルギー摂取を抑制できる可能性が示唆されています。

しかし、この組み合わせに関する十分な研究データは不足していると指摘されており、自己判断での併用は危険です。
ある研究では、糖尿病前症または糖尿病患者において、オルリスタット単独よりもオルリスタット+メトホルミン併用の方が体重減少効果が高かったとの報告もあります。

GLP-1受容体作動薬も併用が検討される薬剤です。
リラグルチド(サクセンダ)、セマグルチド(リベルサス、オゼンピック、ウゴービ)、チルゼパチド(マンジャロ)などが含まれます。
これらの薬剤は脳に作用して食欲を抑制し、満腹感を高め、胃内容排出を遅らせることで食事摂取量を減少させます。

ゼニカル(脂肪吸収抑制)とGLP-1作動薬(食欲抑制)を組み合わせることで、摂取カロリーを二重に抑制する理論的な相乗効果が期待されます。
実際に、リベルサスとオルリスタットの併用で良好な減量結果が得られた症例報告もあります。
サノレックス(マジンドール)との併用も可能です。
サノレックスは中枢神経系に作用して食欲を強力に抑制する薬剤です。
ゼニカルとの作用機序が異なるため、併用は可能であり、より高いダイエット効果が期待できるとされています。

まとめ

ゼニカルは食事から摂取した脂肪の約30%をブロックするリパーゼ阻害薬であり、適切な食事療法・運動療法と併用することで着実な減量効果が期待できます。
副作用として油漏れや脂肪便が起こりやすいため、食事中の脂肪量をコントロールしながらビタミンサプリで栄養バランスを補うことが大切です。
専門医によるカウンセリングとフォローアップを受けることで、安全かつ継続的な治療が可能になります。
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脂質の多い食事を好む方や運動が苦手な方でも、個別プラン提案で無理なく続けられるサポート体制が整っています。
まずはオンライン診療で専門スタッフと相談し、ゼニカルを活用したメディカルダイエットを始めましょう。

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