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肥満症は生活習慣病のリスクを高め、健康寿命を縮める深刻な課題です。
その治療において新たな選択肢として注目されているのがGLP-1受容体作動薬「ウゴービ」です。
ウゴービは食欲を抑え、持続的な満腹感を得ることで体重減少を促進します。
2023年に日本で肥満症治療薬として承認され、臨床試験では大幅な体重減少効果が確認されました。
ただし、美容目的での使用は認められず、保険診療の対象となるには厳格な条件があります。
本記事ではウゴービの適応条件や特徴をわかりやすく解説し、実際に治療を検討する方に必要な知識を整理します。
ウゴービは、肥満症治療において大きな注目を集めているGLP-1受容体作動薬です。
この薬剤は、従来の肥満症治療に新たな選択肢をもたらし、医療現場で大きな期待を寄せられています。
ウゴービの適応を理解するためには、まずこの薬剤の基本的な特性と、日本における位置づけを把握することが重要です。
ウゴービは、体内にもともと存在するホルモン「GLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)」と同様の働きをする薬剤です。
脳の視床下部にある食欲中枢に作用して食欲を抑制し、胃の内容物の排出を遅らせることで満腹感を持続させます。
血糖値に応じてインスリン分泌を促進し、グルカゴン分泌を抑制する作用も持っています。
デンマークの製薬企業ノボノルディスクファーマ社によって開発されました。
有効成分のセマグルチドは、もともと2型糖尿病治療薬「オゼンピック」(注射剤)および「リベルサス」(経口薬)として使用されていました。
臨床試験の過程で顕著な体重減少効果が認められたため、より高用量(2.4mg)を肥満症治療薬として開発するに至りました。
米国では2021年6月、EUでは2022年1月に承認されています。
ウゴービはあくまで食事療法・運動療法の補助として用いられる薬剤であり、これらに代わるものではありません。
治療の基本は生活習慣の改善であることが、メーカーや学会から一貫して強調されています。
日本では2023年3月27日に厚生労働省から製造販売承認を取得し、2024年2月22日に発売されました。
これはアジアで初、世界では6番目の承認国となります。
日本において、肥満症の治療薬として承認されたGLP-1受容体作動薬はウゴービが初であり、約30年ぶりの新しい作用機序を持つ肥満症治療薬の登場として、医療現場で大きな注目を集めています。
発売にあたり、厚生労働省は「最適使用推進ガイドライン」を策定しました。
これは、過去に2型糖尿病治療薬が美容・ダイエット目的で不適切に使用された事例を踏まえ、ウゴービが真に治療を必要とする患者にのみ適正に使用されることを目的としています。
ウゴービの有効性と安全性は、世界規模で実施された「STEP(Semaglutide Treatment Effect in People with obesity)」という一連の臨床試験で検証されました。
その試験では、糖尿病ではない肥満者(BMI 30以上、またはBMI 27以上で合併症あり)約2,000人を対象としました。
ウゴービ2.4mgを68週間投与した群では、平均で-14.9%の体重減少を達成しました(プラセボ群は-2.4%)。
被験者の約3分の1が20%以上の体重減少を達成したことも報告されています。
また、別の試験では、日本人を含む東アジアの肥満者を対象とした試験が実施されました。
同様にウゴービ2.4mgを68週間投与し、日本人集団においてプラセボ群と比較して統計学的に有意な体重減少効果が確認されました。
ノボノルディスクファーマは「それぞれの治療成績に基づき、ウゴービは肥満症治療のために承認された、初めてのGLP-1受容体作動薬です」と、これらの試験が承認の根幹であることを強調しています。
とある試験では、糖尿病ではないが、心筋梗塞や脳卒中などの心血管疾患の既往がある過体重・肥満者(BMI 27以上)17,604人を対象とした大規模臨床試験が実施されました。
ウゴービ2.4mg投与群はプラセボ群と比較して、主要心血管イベント(MACE:心血管死、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中)の発現リスクを20%有意に低下させました。
平均追跡期間は約40ヶ月でした。
この結果は、ウゴービが単に体重を減らすだけでなく、心血管疾患の再発予防という明確な医学的ベネフィットをもたらすことを科学的に証明した点で画期的です。
これにより、ウゴービは「肥満症治療薬」から「心血管イベント抑制薬」としての側面も持つことになりました。
この試験の結果を受け、日本の添付文書も改訂され、「重要な基本的注意」の項に心血管イベントリスクの低下に関する記載が追記されました。
これにより、医師が患者に説明する際の医学的根拠がさらに強化されました。
ウゴービの適応において最も重要なのは、保険診療の対象となるかどうかの判断です。
厳格な基準が設けられており、すべての条件を満たした場合のみ保険適用となります。
ここでは、具体的な適応条件について詳しく解説していきます。
ウゴービの保険適用は、PMDAの「最適使用推進ガイドライン」で厳格に定められており、以下のいずれかに該当する必要があります。
パターン1として、BMI≥35kg/m2の高度肥満症であることが挙げられます。
パターン2として、BMI≥27kg/m2であり、かつ、「肥満に関連する健康障害」を2つ以上有していることが条件となります。
肥満に関連する健康障害には以下のものが含まれます。
BMIが25以上の状態は「肥満」と定義されますが、それだけでは治療対象となりません。
肥満に起因する健康障害を合併し、医学的に減量を必要とする場合に初めて「肥満症」と診断され、ウゴービを含む治療の対象となります。
美容目的での使用は保険適用の対象外です。
上記のBMIと健康障害の基準を満たした上で、さらに「高血圧、脂質異常症、2型糖尿病」のいずれかを有していることが必須となります。
この条件は見落とされがちですが、極めて重要です。
適用される例として、BMI 28で、健康障害として「閉塞性睡眠時無呼吸症候群」と「変形性膝関節症」の2つがあり、さらに「高血圧」の治療も受けている場合が挙げられます。
一方、適用されない例として、BMI 36の高度肥満であっても、高血圧、脂質異常症、2型糖尿病のいずれの診断も受けていない場合は、保険適用の対象外となります。
この点が、ユーザーが自己判断する上で最も誤解しやすいポイントの一つです。
ウゴービは第一選択薬ではありません。
保険診療で処方を受けるには、治療計画に基づいた食事療法・運動療法を6ヶ月以上実施しても、十分な効果が得られなかった患者に限られます。
この「6ヶ月間の実施」は、口頭での申告だけでなく、管理記録等での証明が求められる場合があります。
具体的には、処方を受ける医療機関で治療計画を立て、定期的なフォローアップを受ける必要があります。
この期間中に、管理栄養士による栄養指導を2ヶ月に1回以上の頻度で受けていることも要件とされる場合があります。
すぐに処方してもらえるわけではないという点を理解することが重要です。
初めて肥満症の相談で受診した場合、まずは生活習慣改善プログラムから開始し、6ヶ月間の経過観察を経てからウゴービの適応が判断されるのが正規のプロセスです。
ウゴービの保険処方は、どの医療機関でも可能というわけではありません。
最適使用推進ガイドラインにより、特定の要件を満たす施設に限定されています。
施設要件として、関連学会(日本糖尿病学会、日本内分泌学会、日本循環器学会など)の専門医が常勤していることが挙げられます。
また、管理栄養士が常勤し、栄養指導を行える体制があることも必要です。
多くの場合、大学病院や地域の基幹病院などの教育研修施設が該当します。
一般的なクリニックや内科では、これらの要件を満たさないことが多く、保険診療での処方は困難なのが現状です。
そのため、治療を希望する場合は、まず専門施設を探す必要があります。
安全性の確認と適正使用の徹底のため、発売から当面の間(少なくとも1年間)、1回の処方日数は14日分が上限とされています。
この制限により、患者は2週間に1回の通院が必須となります。
これは、時間的・身体的な負担が大きく、治療継続のハードルとなり得ます。
また、定期的な血液検査なども必要となるため、相応のコミットメントが求められます。
専門医からは「現時点ではウゴービによる減量治療には多くのハードルがあり、基準を満たした患者さんが、全ての条件を受け入れて行うしかない」との見解が示されており、保険診療の道のりが容易ではないことが示唆されています。
保険適用の厳格な基準を満たさない場合でも、自由診療という選択肢があります。
自由診療では異なる基準や費用体系となるため、事前に十分な理解が必要です。
ここでは、自由診療でのウゴービ治療について詳しく説明します。
保険適用の厳格な基準とは異なり、自由診療では各クリニックが独自の基準を設けています。
法的な縛りはありませんが、多くのクリニックでは安全性を考慮した目安を設けています。
一般的には、BMI≥27kg/m2を処方の目安とするクリニックが多くみられます。
一部ではBMI≥25kg/m2(肥満度1)から対応する場合もありますが、標準体重やそれに近い人への美容目的での処方は、倫理的・安全性の観点から行わないのが通常です。
自由診療はあくまで医師の裁量で行われるため、受診前にクリニックのウェブサイト等で処方基準を確認することが推奨されます。
自由診療の費用は全額自己負担となり、クリニックによって大きく異なります。
一般的に、月額3万円〜6万円程度が相場とされています。
費用は用量が増えるにつれて高くなります。
料金例(月4本分)として、0.25mgは15,000円〜22,000円、0.5mgは24,000円〜26,000円、1.0mgは35,000円〜40,000円、1.7mgは42,000円〜48,000円、2.4mgは53,000円〜66,000円となっています。
上記に加え、初診料(約3,000円〜5,000円)や再診料、血液検査費用などが別途必要となる場合があります。
治療の流れとして、まず予約・カウンセリングでオンラインまたは対面で予約し、医師の問診を受けます。
次に必要に応じて血液検査などを実施します。
医師が適応と判断すれば、薬剤が処方されます。
オンライン診療の場合は自宅に配送されることが多いです。
指導に従い、週1回の自己注射を開始します。
1ヶ月ごとなど、定期的にオンラインまたは対面で経過を報告し、用量調整などを行います。
保険診療と自由診療は、適応基準から費用、安全性まで多くの点で異なるため、その違いを正確に理解した上で選択することが極めて重要です。
対象者について、保険診療では非常に厳格な基準を満たす「肥満症」患者が対象となります。
一方、自由診療ではクリニック独自の基準(例:BMI 27以上)を満たす方が対象となります。
費用については、保険診療では薬剤費・診察費等の3割負担となります。
自由診療では全額自己負担(10割負担)となり、費用はクリニックにより変動します。
処方施設について、保険診療では専門医・管理栄養士が常勤する基幹病院等に限定されます。
自由診療ではダイエット外来などを設置する多くのクリニック(オンライン含む)で対応可能です。
通院頻度については、保険診療では発売後1年間は2週間に1回が必須となります。
自由診療では月1回程度など、クリニックの方針によって異なります。
安全性の面では、保険診療では重篤な副作用発生時に医薬品副作用被害救済制度の対象となる可能性があります。
自由診療では救済制度の対象外となります。
目的について、保険診療では肥満に伴う健康障害の改善(治療)を目的とします。
自由診療では体重減少(ダイエット)を目的としますが、医学的管理下で行われます。
医薬品副作用被害救済制度は、医薬品を適正に使用したにもかかわらず発生した重篤な健康被害に対して、医療費等の給付を行う公的な仕組みです。
自由診療(適応外使用)の場合は、このセーフティネットが適用されないリスクを認識しておく必要があります。
ウゴービの適応を検討する際には、他の類似薬剤との比較も重要です。
複数の選択肢を理解することで、最適な治療法を選択できます。
ここでは、主要なGLP-1製剤との比較について詳しく説明します。
3剤とも有効成分は「セマグルチド」であり、基本的な作用機序は同じです。
しかし、適応疾患、投与方法、最大用量、減量効果において違いがあります。
ウゴービは肥満症に適応し、週1回皮下注射で投与され、最大用量は2.4mgです。
減量効果は最も高く、肥満症に特化し、高用量による強力な効果が期待できます。
オゼンピックは2型糖尿病に適応し、週1回皮下注射で投与され、最大用量は1.0mgです。
減量効果は高く、注射薬として実績豊富です。
リベルサスは2型糖尿病に適応し、1日1回経口投与され、最大用量は14mgです。
減量効果は中程度で、経口薬として利便性が高いです。
用量の違いから、減量効果は一般的に「ウゴービ > オゼンピック > リベルサス」の順となります。
ウゴービの最大用量2.4mgは、オゼンピックの最大用量1.0mgの2倍以上であり、これが効果の差の主な要因です。
マンジャロ(チルゼパチド)は、GLP-1に加えて「GIP(グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド)」というもう一つのホルモンにも作用する世界初のGIP/GLP-1受容体作動薬です。
日本では2型糖尿病治療薬として承認されています。
とある試験では、2型糖尿病患者を対象にマンジャロとオゼンピック(セマグルチド)を直接比較しました。
この臨床試験では、マンジャロの全用量(5mg, 10mg, 15mg)がオゼンピック1mgよりも有意に優れた血糖改善効果と体重減少効果を示しました。
体重減少効果は約2倍の差がつく結果となりました。
専門家の間では「HbA1c低下・体重減少共にマンジャロの効果が際立った結果」と評価されており、現行の薬剤の中では最も強力な選択肢の一つと見なされています。
ゼップバウンドは、米国で肥満症治療薬として承認されているチルゼパチド製剤です。
マンジャロと同一成分ですが、日本では未承認(2024年時点)です。
マンジャロを肥満治療に用いる場合は、自由診療での適応外使用となります。
どの薬剤が最適かは、個人の目的、健康状態、ライフスタイルによって異なります。
以下の点を考慮して医師と相談することが重要です。
とにかく最大限の減量効果を追求したい場合は、マンジャロが第一候補となります。
GIP/GLP-1のデュアル作用により、セマグルチド製剤を上回る効果が期待できます。
肥満症の正式な適応がある薬剤で、高い効果を得たい場合は、ウゴービが最適です。
特に心血管疾患のリスクがある場合は、SELECT試験の結果から推奨度が高いです。
注射への抵抗感が強く、経口薬を希望する場合は、リベルサスが唯一の選択肢です。
ただし、効果は注射薬に比べてマイルドであること、毎朝空腹時に服用するという制約を理解する必要があります。
2型糖尿病の治療が主目的である場合は、マンジャロ、オゼンピック、リベルサスなどが保険適用の対象となります。
血糖コントロールと体重減少のバランスを考慮して選択します。
作用機序が似ているため、主な副作用(吐き気、下痢、便秘などの胃腸障害)の種類は各薬剤で大きく変わりません。
ただし、効果が強い薬剤ほど、副作用も強く出やすい傾向があるため、少量から開始し、体の反応を見ながら徐々に増量していくことが基本となります。
ウゴービの適応を検討する上で、安全性と副作用について正しく理解することは不可欠です。
治療を安全に継続するためには、起こりうる副作用とその対処法を事前に知っておくことが重要です。
ウゴービの臨床試験で最も多く報告された副作用は、胃腸障害です。
これはGLP-1受容体作動薬に共通してみられる特徴です。
主な症状(5%以上)として、悪心(吐き気)、下痢、嘔吐、便秘、消化不良、腹痛、腹部膨満などがあります。
これらの症状は、治療開始初期や用量を増やした時期に現れやすく、多くは治療を続けるうちに体が慣れて軽減していくことが多いです。
症状を緩和するため、一度に食べる量を減らし、消化の良い食事を心がける、脂っこい食事を避けるなどの工夫が有効です。
症状が強い場合は、医師に相談し、整腸剤や吐き気止めを処方してもらう、あるいは一時的に用量を減らすなどの対応をとります。
頻度は低いものの、注意すべき重篤な副作用がいくつか報告されています。
初期症状を知り、異常を感じた際は速やかに医療機関を受診することが重要です。
急性膵炎(頻度0.1%)では、初期症状として嘔吐を伴う持続的な激しい腹痛、背中の痛みなどが現れます。
対応として、直ちに使用を中止し、速やかに医師の診察を受ける必要があります。
胆嚢炎、胆管炎、胆汁うっ滞性黄疸(頻度不明)では、初期症状として右上腹部の痛み、発熱、皮膚や白目が黄色くなるなどが現れます。
対応として、医師に相談し、適切な処置を受けます。
イレウス(腸閉塞)(頻度不明)では、初期症状として高度の便秘、腹部膨満、持続する腹痛、嘔吐などが現れます。
対応として、直ちに使用を中止し、適切な処置を受けます。
げっ歯類を用いた動物実験で甲状腺C細胞腫瘍の発生が報告されているため、甲状腺髄様癌の既往がある患者や家族歴がある患者への使用は禁止ではありませんが慎重な検討が必要です。
治療中は首のしこりなど、甲状腺関連の症状に注意することが推奨されています。
ウゴービは血糖値が高い時にのみインスリン分泌を促すため、単独使用での低血糖リスクは低いとされています。
しかし、インスリン製剤やSU薬(スルホニルウレア剤)など、他の血糖降下薬と併用する場合、重篤な低血糖(冷や汗、動悸、手の震え、意識障害など)を引き起こすリスクが高まります。
併用する場合は、これらの薬剤の減量を検討する必要があります。
低血糖症状に備え、ブドウ糖や糖質を含む飲料などを携帯することが推奨されます。
また、高所作業や自動車の運転など、危険を伴う作業に従事する際は特に注意が必要です。
ウゴービは食欲を薬理学的に抑制しているため、投与を中止すると抑制されていた食欲が元に戻り、体重がリバウンドする可能性が高いです。
治療成功の鍵は、ウゴービを使用している期間中に、食事療法・運動療法を習慣化し、健康的なライフスタイルを身につけることです。
薬に頼るだけでなく、治療期間を「生活習慣を根本から見直すためのサポート期間」と捉えることが、長期的な体重維持につながります。
妊娠を計画している女性は、妊娠予定の2ヶ月前までにウゴービの投与を中止する必要があります。
動物実験で胎児への影響が報告されているため、妊婦または妊娠している可能性のある女性への投与は禁止です。
ウゴービの適応が決まったら、治療効果を最大化するための準備が重要です。
薬物療法の成功は、基本的な生活習慣の改善と密接に関連しています。
ウゴービはあくまで補助であり、治療の根幹は食事療法と運動療法です。
これらを継続しなければ、薬の効果を最大限に引き出すことはできず、治療中止後のリバウンドリスクも高まります。
食事療法では、摂取エネルギーの制限が重要です。
肥満症では「25kcal×目標体重(kg)」以下が目安となります。
摂取エネルギーを減らすことが減量の最も有効な手段です。
栄養バランスについて、炭水化物50-65%、たんぱく質13-20%、脂質20-30%のバランス(PFCバランス)を意識します。
食事行動の改善として、早食いを避け、よく噛んで食べます。
欠食をせず、1日3食規則正しく摂ります。
運動療法では、有酸素運動としてウォーキング、ジョギング、水泳などの中強度の有酸素運動を週に150分以上行うことが推奨されます。
レジスタンス運動として、筋肉量を維持し、基礎代謝の低下を防ぐため、スクワットや腕立て伏せなどの筋力トレーニングを週2〜3回組み合わせることが効果的です。
日常生活での活動量増加として、エレベーターを階段にするなど、座っている時間を減らし、こまめに動くことも重要です。
自己流の食事管理は長続きしにくく、栄養バランスが偏るリスクもあります。
管理栄養士による専門的な指導は、科学的根拠に基づいた、継続可能で効果的な食事療法を実践する上で不可欠です。
指導内容として、まずアセスメントを行います。
現在の食生活、生活リズム、嗜好などを詳細にヒアリングし、問題点を洗い出します。
目標設定では、患者一人ひとりの状況に合わせ、無理のない具体的な目標(摂取カロリー、栄養バランスなど)を設定します。
具体的な食事プランの提案では、主食・主菜・副菜の揃え方、食材の選び方、調理法の工夫などを具体的にアドバイスします。
行動変容のサポートとして、食事記録(フードダイアリー)の付け方を指導し、定期的に振り返りながらモチベーション維持を支援します。
保険診療でウゴービの処方を受ける場合、定期的な管理栄養士の指導が要件に含まれることがあります。
これは、薬物療法と並行して正しい食生活を身につけることの重要性を示しています。
ウゴービは週に1回、決まった曜日に皮下注射します。
食事のタイミングに関わらず投与可能です。
副作用(特に胃腸障害)を軽減するため、少量から開始し、段階的に用量を増やしていく「用量漸増法」が採用されています。
1〜4週目は0.25mg、5〜8週目は0.5mg、9〜12週目は1.0mg、13〜16週目は1.7mg、17週目以降は2.4mg(維持用量)となります。
各用量で4週間継続し、問題がなければ次のステップに進みます。
患者の状態に応じて、増量ペースを遅らせたり、減量したりすることもあります。
自己注射の方法について、注射部位は腹部、太もも、上腕のいずれかに注射します。
毎回同じ場所は避け、少しずつ位置をずらします。
手順として、薬剤は使い切りのオートインジェクター(製品名: SD)を使用します。
キャップを外し、皮膚にしっかり押し当てると自動的に注射が開始され、数秒で完了します。
注射中はカチッという音がします。
保管方法として、冷蔵庫(2〜8℃)で保管します。
初回は必ず医療機関で看護師などから直接指導を受けます。
ウゴービの適応が可能性として浮上したら、適切な医療機関の選択が重要になります。
保険適用と自由診療では選択肢が大きく異なるため、事前の準備が必要です。
ウゴービ治療を検討する上で、まず自身が保険適用の可能性があるのか、それとも自由診療を前提とするのかを冷静に判断する必要があります。
判断フローとして、まず自己チェックを行います。
本記事の「ウゴービの適応条件」を参考に、自身のBMI、健康障害、既往歴を照らし合わせ、保険適用の可能性を客観的に評価します。
保険適用を目指す場合は、地域の基幹病院や大学病院の「肥満外来」「糖尿病・内分泌内科」などに相談します。
6ヶ月間の生活習慣改善指導からスタートする可能性があることを念頭に置きます。
自由診療を選択する場合は、費用、通院の利便性(オンライン診療の有無)、サポート体制などを比較検討し、信頼できるクリニックを選びます。
安易に「保険は無理そうだから自由診療で」と決めつけず、まずはかかりつけ医に相談したり、専門外来の受診を検討したりすることも一つの方法です。
保険診療の場合、日本肥満学会や日本糖尿病学会のウェブサイトで専門医や認定教育施設を検索します。
かかりつけ医からの紹介状をもらうのが最も確実な方法です。
受診先として、大学病院、国公立病院、地域の基幹病院の「肥満外来」「減量外来」「糖尿病・内分泌内科」「循環器内科」などがあります。
自由診療の場合、インターネットで「ウゴービ 自由診療」「メディカルダイエット」などのキーワードで検索します。
チェックポイントとして、料金体系の透明性を確認します。
薬剤費以外に診察料や検査料が別途かかるか、総額が明記されているかを確認します。
オンライン診療の対応について、遠方でも受診可能か、通院の負担を軽減できるかを確認します。
医師による丁寧な説明として、副作用やリスクについて十分な説明があるかを確認します。
国内正規品の使用について、安価すぎる場合は、海外からの輸入品など非正規ルートの可能性もあります。
国内の正規代理店から仕入れた薬剤を使用しているかを確認します。
的確な診断と安全な治療計画のために、自身の情報を正確に医師に伝えることが重要です。
伝えるべき情報として、現在の身長・体重(BMIの算出に必要)を伝えます。
治療中の病気として、高血圧、脂質異常症、糖尿病、心臓病、腎臓病、膵炎の既往などを伝えます。
服用中の薬・サプリメントについて、特に糖尿病治療薬を服用中の場合は必ず伝えます。
過去のダイエット経験として、これまでの食事療法や運動療法の取り組みと、その結果を伝えます。
アレルギー歴、妊娠の可能性や計画の有無も重要な情報です。
主な検査として、問診・身体測定では身長、体重、腹囲、血圧の測定を行います。
血液検査では、肝機能、腎機能、血糖値(HbA1c)、脂質、膵酵素(アミラーゼ、リパーゼ)などを確認し、合併症の有無や薬剤使用の可否を判断します。
その他、必要に応じて心電図などの検査が行われることもあります。
ウゴービだけが唯一の選択肢ではありません。
自身のニーズや状況を医師に伝え、他の薬剤も含めた最適な治療法を一緒に検討する姿勢が大切です。
相談時のポイントとして、「ウゴービを希望します」と決め打ちするのではなく、「GLP-1受容体作動薬による減量治療に関心があります」と伝えます。
自身の希望を明確にします。
例として「注射は苦手なので、飲み薬があれば嬉しい」「できるだけ早く効果を出したい」などを伝えます。
医師から提案された治療法のメリット・デメリット(効果、副作用、費用など)を十分に確認し、納得した上で治療を開始します。
特定の薬剤のみを強く推奨し、他の選択肢について十分に説明しないクリニックには注意が必要です。
患者一人ひとりに合った治療法を提案してくれる、信頼できる医師を見つけることが治療成功の鍵となります。
ウゴービは、肥満症治療に特化したGLP-1受容体作動薬であり、従来の生活習慣改善だけでは十分な成果を得られなかった方に新たな可能性をもたらしました。
日本で承認されたのは2023年で、BMI35以上の高度肥満症、またはBMI27以上で複数の肥満関連疾患を合併している場合に適応が認められます。
さらに高血圧、脂質異常症、もしくは2型糖尿病のいずれかを有することが必須条件とされ、保険診療で使用するには6か月以上の食事療法・運動療法を経ても効果が不十分であることを証明する必要があります。
これらの条件を満たさない場合でも自由診療での利用は可能で、オンライン診療を含め多くのクリニックが対応していますが、費用は全額自己負担となります。
自由診療ではBMI27以上を目安とするケースが一般的で、より柔軟に治療が検討できます。
臨床試験では68週間で平均14.9%の体重減少が確認されており、心血管疾患リスクを低下させる効果も明らかになっています。
その一方で、副作用として吐き気や下痢などの胃腸障害、まれに膵炎や胆嚢炎など重篤な症状が報告されており、適切な医師の管理が不可欠です。
投与を中止するとリバウンドする可能性もあるため、治療期間を生活習慣の改善に取り組むサポート期間と考えることが重要です。
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