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マンジャロは2型糖尿病治療薬として開発され、強力な体重減少効果からメディカルダイエットにも注目されています。

しかし、一部の利用者から「気分の落ち込み」や「うつ症状」との関連が心配されています。

現時点で有効成分チルゼパチドとうつ病や自殺念慮との明確な因果関係は認められていませんが、消化器症状や倦怠感といった副作用が間接的に精神状態へ影響を及ぼす可能性は指摘されています。

本記事では、臨床試験データや公式見解をもとに「マンジャロの副作用におけるうつ」に関する最新情報を整理し、利用時に注意すべき点を詳しく解説します。

安全に治療を進めるための心構えを一緒に確認していきましょう。

マンジャロの服用とうつ症状の副作用における関連性

マンジャロと精神症状の関係は、患者や医療従事者の間で大きな関心事となっています。

ここでは、公式な臨床試験データと当局の見解を整理し、現時点で科学的に明らかになっていることを正確にお伝えします。

うつや自殺念慮との因果関係は明確でないとする当局の公式見解

現時点の公式な見解として、マンジャロの有効成分チルゼパチドが、うつ病や自殺念慮を直接引き起こすという明確な因果関係は確立されていません。

製薬企業が実施した国際共同第3相臨床試験の統合解析では、うつ病関連の有害事象の発生率は、マンジャロ投与群とプラセボ(偽薬)投与群との間で統計的に有意な差は見られませんでした。

この結果は、一般的な試験参加者集団において、マンジャロがうつ病のリスクを統計的に増加させるわけではないことを示唆しています。

ただし、この「因果関係が明確でない」という表現は、「リスクが全くない」ことを意味するものではなく、科学的な証明が完了していない状態を示す点に注意が必要です。

規制当局や製薬企業は、統計的根拠に基づいて慎重な表現を用いますが、臨床現場では予防的な観点からリスクが重視される傾向があります。

臨床試験で報告された抑うつ気分発現の事例と軽重度

日本人2型糖尿病患者を対象とした国内第3相臨床試験では、マンジャロ投与群において「抑うつ気分」や「うつ病、抑うつ気分を伴う適応障害」が少数例報告されています。

これらの報告された事象は、いずれも重篤度は「軽度」または「中等度」であり、「非重篤」として扱われました。

重要な点として、製薬企業はこれらの臨床試験の計画段階で、予め「大うつ病性障害または自殺念慮」を「注目すべき有害事象」として特定し、重点的にデータを収集していました。

これは、GLP-1受容体作動薬のクラス全体で精神症状への懸念が背景にあり、リスクが予見されていたことを示唆します。

国際試験で報告されたより重度な精神症状の事例では、患者が元々抱えていた精神的健康問題(うつ病、PTSDなど)や、社会的なストレス要因が影響した可能性が示唆されています。

精神的な不調が薬の直接作用か体調変化によるものかの判断基準

マンジャロ服用中に感じる気分の落ち込みは、薬剤の化学的な作用が脳に直接影響を及ぼす「直接作用」ではなく、身体的な副作用による「間接的な影響」である可能性が複数の専門家から指摘されています。

主な間接的要因として、投与初期に頻発する悪心(吐き気)、食欲不振、下痢、倦怠感といった消化器症状や全身症状が挙げられます。

これらの身体的な不快感が持続することで、生活の質(QOL)が低下し、結果として気分が落ち込んだり、やる気が出なくなったりすることが考えられます。

もう一つの間接的要因として、低血糖症状があります。

特に他の糖尿病薬との併用時や極端な食事制限をした場合に、脱力感、めまい、思考力の低下などが生じ、これが精神的な不調として感じられることがあります。

精神的な変調を感じた場合、それが薬剤の直接作用か、あるいは管理可能な身体的副作用の二次的な影響なのかを見極めるため、自己判断で服用を中止せず、速やかに処方医に相談することが極めて重要です。

メディカルダイエットにおけるマンジャロの強力な作用と仕組み

マンジャロが「最強のGLP-1」と呼ばれる理由は、その独自の作用機序にあります。

既存の糖尿病薬を大きく上回る体重減少効果の背景を、科学的な視点から解説します。

GIPとGLP-1受容体に作用するデュアルアゴニストの仕組み

マンジャロは、消化管から分泌される「インクレチン」というホルモンであるGIPとGLP-1の2種類の受容体を同時に活性化する、世界初の「デュアルアゴニスト」です。

GLP-1は、脳の視床下部にある満腹中枢に作用して食欲を直接抑制する効果と、胃の動きを緩やかにして食物の排出を遅らせ、満腹感を持続させる効果を持ちます。

GIPは、GLP-1と同様に血糖値に応じてインスリン分泌を促す作用に加え、脂肪組織におけるエネルギー代謝を改善し、インスリンの効きやすさ(感受性)を高める働きがあるとされます。

従来のGLP-1受容体作動薬(オゼンピックなど)がGLP-1のみに作用するのに対し、マンジャロはこの2つの経路からアプローチすることで、より強力な血糖改善効果と体重減少効果を相乗的にもたらします。

この強力な作用機序が、マンジャロが注目される所以です。

既存のGLP-1受容体作動薬を凌ぐ血糖改善・体重減少効果のデータ比較

マンジャロの有効性は、既存のGLP-1受容体作動薬であるセマグルチド(製品名:オゼンピック)との直接比較試験で明確に示されています。

この試験において、40週間の投与後、オゼンピック1mg群の平均体重減少が約-6.2kgであったのに対し、マンジャロは5mg群で-7.8kg、10mg群で-10.3kg、最高用量の15mg群では-12.4kgと、全ての用量でオゼンピックを上回る結果を示しました。

別の報告では、マンジャロ15mg群で-11.2kg、オゼンピック1mg群で-5.7kgと、約2倍の体重減少効果が認められました。

血糖コントロールの指標であるHbA1cの低下作用においても、マンジャロは全ての用量でオゼンピックを上回る改善効果を示しました。

これらの臨床試験データが、ダイエット目的の適用外使用においてマンジャロが選択される大きな理由となっていますが、試験対象者は主に2型糖尿病患者であり、その結果が全ての利用者に当てはまるわけではない点に留意が必要です。

服用初期や増量時に副作用が生じやすい血中濃度の変化

マンジャロを皮下注射した後、血中濃度が最高値(ピーク)に達するまでの中央値は約24時間です。

血中濃度が半分に下がるまでの時間(半減期)は非常に長く、約5〜6日間に及びます。

この長い半減期のため、週1回の投与を続けると、体内に薬剤が徐々に蓄積していき、血中濃度が安定した「定常状態」に達するまでに約4週間かかるとされています。

副作用、特に吐き気などの消化器症状が、投与開始直後や用量を増やしたタイミングで強く出やすいのは、この血中濃度が急激に立ち上がったり、新たな定常状態に移行したりする過程で体が適応しようとするためです。

「初回2.5mgから開始し、4週間継続した後に5mgへ増量する」という投与方法は、この薬物動態に基づいており、体をゆっくりと薬剤に慣れさせ、副作用を最小限に抑えるための重要な安全対策です。

最も頻度の高い消化器系副作用(吐き気・下痢・便秘)への対処法

マンジャロの副作用で最も多く報告されるのが消化器症状です。

これらの症状を適切に管理することが、治療継続と精神的安定の鍵となります。

吐き気・下痢・便秘の具体的な発現頻度と症状の持続期間の目安

マンジャロの副作用として最も報告が多いのは消化器系の症状であり、特に悪心(吐き気)は利用者の約20〜30%が経験するとされます。

次いで、下痢が約10〜20%、便秘が約10〜15%の頻度で報告されています。

これらの症状は、体が薬剤に慣れていない投与開始から数週間、または用量を増やした直後に最も現れやすい状態です。

多くの場合、これらの症状は一過性であり、治療を継続するうちに体内の薬剤濃度が安定し、体が適応することで、数日から数週間で自然に軽減・消失していくことが一般的です。

ただし、症状が1ヶ月以上続く場合や、日常生活に支障をきたすほど重い場合は、我慢せずに医師に相談し、用量の調整や対症療法の検討が必要です。

消化器症状を軽減するための食事内容や水分補給の具体的な工夫

吐き気や胃もたれを軽減するためには、胃への負担を減らす食事が基本となります。

一度に多くの量を食べるのではなく、1日4〜5回に分ける「少量頻回食」が推奨されます。

脂肪分の多い食事(揚げ物、クリーム系の料理など)や、香辛料の強い刺激的な食事は、胃の排出遅延作用と相まって症状を悪化させるため、避けるべきです。

食事はよく噛んでゆっくりと時間をかけて食べ、就寝前の3時間以内の食事は逆流性食道炎のリスクを高めるため控えることが望ましい習慣です。

下痢や嘔吐がある場合は脱水症状に陥りやすいため、こまめな水分補給が不可欠です。

一度に大量に飲むのではなく、水や経口補水液、スポーツドリンクなどを少量ずつ頻繁に摂取することが重要です。

便秘に対しては、水溶性・不溶性の両方の食物繊維をバランス良く摂取し、十分な水分を摂ることが対策となります。

体調不良による精神状態の悪化を避けるための生活習慣の改善策

マンジャロの身体的な副作用による不快感は、精神的なストレスとなり、気分の落ち込みにつながる可能性があるため、副作用の管理は精神衛生を保つ上で非常に重要です。

前述の食事療法を徹底し、身体的な負担を最小限に抑えることが、精神状態の悪化を防ぐ第一歩となります。

急激な体重減少自体が身体へのストレスとなるため、1ヶ月に体重の5%以内を目安とした、緩やかな減量計画を立てることが推奨されます。

十分な睡眠時間を確保し、ウォーキングなどの軽い運動や趣味の時間を設けることで、ストレスを効果的に管理し、精神的な安定を図ることが大切です。

体調不良や気分の変調が続く場合は、一人で抱え込まず、すぐに医師やカウンセラーに相談し、専門的なサポートを受けることが、深刻な状態への進行を防ぐ鍵となります。

急性膵炎や胆石症など重篤な副作用の兆候と緊急時の対応

マンジャロには、頻度は低いものの生命に関わる重篤な副作用が報告されています。

これらの兆候を正確に理解し、適切に対応することが患者の安全を守ります。

激しい腹痛や背部痛を伴う急性膵炎・胆嚢炎の発症リスクと対処

頻度は0.1%未満と非常に稀ですが、生命に関わる可能性のある重篤な副作用として急性膵炎が報告されています。

急性膵炎の典型的な症状は、「持続する激しい腹痛」であり、しばしば背中にまで痛みが広がる(背部痛)現象が見られます。

嘔吐を伴うことも、よく見られる特徴です。

これらの症状は、単なる胃もたれや食べ過ぎによる腹痛とは明らかに異なる「経験したことのないような激しい痛み」であることが特徴です。

このような症状が現れた場合は、直ちにマンジャロの投与を自己中止し、夜間や休日であっても救急外来などを受診する必要があります。

同様に、胆嚢炎や胆石症のリスクも報告されており、右上腹部の痛みや発熱、黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)などが兆候として挙げられます。

これらの症状も速やかな医療機関の受診が必要です。

低血糖や脱水症状のリスクを高める要因と併用薬による注意点

マンジャロは血糖値が高い時にのみインスリン分泌を促すため、単独使用での重篤な低血糖のリスクは比較的低いとされています。

しかし、他の種類の糖尿病治療薬、特にスルホニルウレア(SU)薬やインスリン製剤と併用すると、作用が重なり、意識障害に至るような重篤な低血糖を引き起こす危険性が著しく高まります。

ダイエット目的の使用者であっても、極端な食事制限や絶食、激しい運動などによって血糖値が下がりすぎ、低血糖(冷や汗、動悸、手の震え、強い空腹感など)を起こす可能性があります。

低血糖の初期症状を感じた場合は、速やかにブドウ糖や糖質を含むジュースなどを摂取する必要があります。

嘔吐や下痢が続く場合は脱水症状のリスクが高まります。

めまい、ふらつき、極度の倦怠感などが現れた場合は、水分補給を徹底し、改善しない場合は医療機関を受診する必要があります。

甲状腺髄様がんや多発性内分泌腫瘍症2型の家族歴に関する禁止事項

動物実験(ラット)において、チルゼパチドの投与により甲状腺C細胞腫瘍の発生が報告されているため、ヒトにおけるリスクは不明ながらも、安全性の観点から禁止事項が設けられています。

患者本人またはその家族が「甲状腺髄様(ずいよう)がん」の既往歴を持つ場合は、マンジャロを使用することができません。

また、遺伝性疾患である「多発性内分泌腫瘍症2型(MEN2)」の患者またはその家族歴がある場合も同様に禁止とされています。

これらの疾患は非常に稀ですが、治療を開始する前の問診で、医師に正確な家族歴を伝えることが極めて重要です。

マンジャロの適用外使用(ダイエット)におけるリスクと禁止事項

日本ではマンジャロは2型糖尿病治療薬としてのみ承認されており、ダイエット目的での使用には重大なリスクが伴います。

精神疾患を持つ患者や重度の胃腸障害がある方への使用非推奨理由

うつ病や双極性障害などの精神疾患で治療中、あるいは既往歴のある患者に対しては、マンジャロの使用は推奨されない、あるいは禁止とされています。

その理由は、マンジャロの身体的副作用(倦怠感、吐き気など)が既存の精神症状を悪化させる可能性があることや、薬剤が精神状態に予期せぬ影響を与えるリスクが否定できないためです。

特に、脳に作用する他の向精神薬を服用している場合は、相互作用のリスクも考慮し、使用は慎重に避けるべきとされます。

また、胃不全麻痺(胃の動きが極端に悪い状態)やクローン病、潰瘍性大腸炎といった重度の胃腸障害がある患者も禁止です。

マンジャロには胃の内容物排出を遅らせる作用があるため、これらの患者が使用すると、もともとの胃腸症状が著しく悪化する危険性があります。

他の糖尿病薬や低用量ピル・ワーファリンとの相互作用リスクと回避策

前述の通り、スルホニルウレア剤やインスリン製剤などの血糖降下作用を持つ他の糖尿病薬との併用は、重篤な低血糖のリスクを著しく高めるため、原則として専門医の厳密な管理下でのみ行われます。

マンジャロは胃排出を遅延させる作用を持つため、同時に服用する経口薬の吸収速度や吸収量に影響を与える可能性があります。

特に注意が必要なのが経口避妊薬(低用量ピル)です。

マンジャロとの併用によりピルの吸収が変化し、避妊効果が減弱する可能性があるため、他の避妊法を併用することが推奨されます。

血液を固まりにくくするワルファリン(ワーファリンカリウム)も、マンジャロとの併用で作用が不安定になる可能性があり、慎重なモニタリングが必要となります。

何らかの持病で他の薬剤を服用している場合は、必ず事前に医師や薬剤師に申し出て、併用の可否を確認する必要があります。

ダイエット目的での自由診療利用が医薬品副作用救済制度の対象外となる点

日本には、医薬品を適正に使用したにもかかわらず、入院が必要になるほどの重篤な副作用による健康被害が生じた場合に、医療費や障害年金などを給付する公的なセーフティネット「医薬品副作用被害救済制度」が存在します。

しかし、この制度が適用されるのは、国が承認した効能・効果、用法・用量に従って医薬品が使用された場合に限られます。

マンジャロは日本では「2型糖尿病」の治療薬としてのみ承認されているため、ダイエットや肥満治療という「適用外」の目的で使用した場合は、この制度の対象外となります。

これは、万が一、急性膵炎や重度のアナフィラキシーショックといった深刻な副作用で高額な医療費が必要になったり、後遺症が残ったりしても、一切の公的な経済的補償を受けられないことを意味します。

自由診療を選択する際には、この医療的リスクに加えて、重大な経済的リスクを自己責任で負うことになるという事実を十分に理解しておく必要があります。

安全に治療を進めるための正しい投与手順と自己管理の注意点

マンジャロ治療の成否は、正しい投与手順の遵守と日常的な自己管理にかかっています。

初回2.5mgから開始し慎重に用量を増量するステップと理由

マンジャロの治療は、必ず週1回2.5mgという最も低い用量から開始します。

この初期用量は、主に体を薬剤に慣れさせ、副作用の発現を最小限に抑えることを目的とした「導入量」であり、体重減少効果は限定的です。

2.5mgを4週間継続した後、問題がなければ維持用量である5mgに増量します。

この4週間という期間は、マンジャロの血中濃度が安定するのに必要な時間(約5半減期)に基づいています。

このステップを無視して最初から高用量で開始したり、短期間で急激に増量したりすると、重い吐き気や下痢などの副作用が発現するリスクが非常に高くなります。

安全かつ効果的に治療を継続するためには、医師の指示通りの用量とスケジュールを厳守することが不可欠です。

薬の効果を持続させるための正しい保管方法と注射失敗時の対処

マンジャロはタンパク質を主成分とする生物学的製剤であり、熱や光に弱いため、厳密な温度管理が必要です。

未使用の注射器は、凍結を避け、必ず2〜8℃の冷蔵庫で、光を避けるために外箱に入れたまま保管します。

一度凍結してしまった薬剤は使用できません。

また、室温(30℃以下)で保管する場合は21日以内に使用する必要があります。

注射を打ち忘れた場合、次の注射予定日まで3日(72時間)以上あれば、気づいた時点ですぐに注射します。

3日未満の場合はその回はスキップし、次の予定日に通常通り注射します。

2回分を一度に注射してはなりません。

注射器の故障や操作ミスで全量が注入されなかった場合でも、追加の注射は行わず、次の予定日に通常通り注射します。

服薬中止によるリバウンドの可能性と長期的な生活習慣改善の重要性

マンジャロは食欲を薬理学的に抑制することで体重を減少させるため、投与を中止すればその効果は失われ、食欲が元に戻る可能性が高くなります。

薬剤にのみ頼って体重を落とした場合、投与中止後に以前の食生活に戻れば、体重が元に戻る「リバウンド」が起こるリスクは非常に高いと言えます。

マンジャロでの治療は、あくまで健康的な食生活や運動習慣を身につけるための「きっかけ」または「補助」と捉えるべきです。

治療中に食欲がコントロールされている期間を利用して、食事の量や質を見直し、適度な運動を習慣化することが、治療終了後の体重維持、ひいては長期的な健康のために不可欠となります。

最終的な目標は、薬がなくても自己管理によって適正体重を維持できる状態になることです。

クリニックでマンジャロによるダイエット相談を始める道筋と費用

マンジャロ治療を安全に開始するためには、適切な医療機関の選択と正確な情報提供が不可欠です。

安全な治療開始のために内科専門医へ正確に伝えるべき既往歴

マンジャロによる治療を安全に開始するためには、医師に自身の健康状態を正確に伝えることが最も重要です。

特に、うつ病、双極性障害、不安障害などの精神疾患の既往歴や現在治療中であるか否かは、投与の可否を判断する上で極めて重要な情報となります。

その他、急性膵炎、胆石症、重度の胃腸障害(胃不全麻痺など)、甲状腺髄様がんや多発性内分泌腫瘍症2型の家族歴、妊娠・授乳の有無、現在服用中の全ての薬剤(サプリメント含む)についても、漏れなく申告する必要があります。

これらの情報を隠して処方を受けると、重篤な健康被害につながるリスクがあるため、正直に伝えることが自身の安全を守ることになります。

特に精神疾患の既往がある場合は、処方医だけでなく、かかりつけの精神科医にも相談し、連携をとってもらうことが望ましい対応です。

適切な医師の指導のもとでマンジャロを正規ルートで入手する重要性

マンジャロは医師の処方が必要な「処方箋医薬品」であり、医療機関での診察を受け、国内の正規代理店を通じて供給された薬剤を使用することが安全の前提となります。

インターネット上の個人輸入代行サイトなどを利用して、海外製の未承認薬を入手する行為は、極めて危険です。

個人輸入品は、偽造薬や品質が劣化している薬剤である可能性があり、予期せぬ健康被害を引き起こすリスクが非常に高くなります。

また、個人輸入した薬剤で健康被害が生じた場合、日本の医薬品副作用被害救済制度はもちろん利用できず、全ての責任を自己で負うことになります。

安全な治療のためには、必ず国内の医療機関を受診し、医師の診察と指導のもとで、正規の薬剤を処方してもらう必要があります。

ダイエット目的での使用にかかる全額自己負担となる費用の目安

ダイエット目的でのマンジャロ処方は、保険が適用されない自由診療となるため、費用は全額自己負担です。

費用はクリニックや処方用量によって大きく異なりますが、最も低い2.5mgの用量で、1ヶ月分(4本)あたり約20,000円から35,000円程度が相場となっています。

用量が増えるにつれて価格は上昇し、5mgで月額4万円台から、7.5mgで5万円台から、10mgでは月額8万円近くになる場合もあります。

これら薬剤費の他に、初診料(無料〜数千円)、定期的な血液検査費用(数千円)、送料などが別途必要になる場合があります。

治療は数ヶ月から1年以上に及ぶ可能性があり、総額では数十万円から百万円単位の費用がかかることも想定されるため、継続可能な費用計画を立てることが重要です。

マンジャロ治療に関するユーザーからよくある質問

マンジャロ治療を検討する際によく寄せられる疑問について、エビデンスに基づいて回答します。

脱毛症(抜け毛)の報告頻度と急激な体重減少は関係ありますか?

マンジャロの臨床試験では、プラセボ群(0.9-1.4%)と比較して、マンジャロ投与群(5.2-7.0%)で脱毛症の報告が多かったことが示されています。

しかし、これはマンジャロの成分が毛根に直接作用して脱毛を引き起こすというよりは、薬剤の効果による急激な体重減少が主な原因と考えられています。

急激な減量や食事制限は、身体にとって大きなストレスとなり、髪の成長に必要なタンパク質、亜鉛、鉄分などの栄養素が不足しがちになります。

これにより、多くの毛髪が一斉に成長を止めて休止期に入る「休止期脱毛」という状態が引き起こされ、一時的に抜け毛が増えることがあります。

対策としては、急激な減量を避け、タンパク質やビタミン、ミネラルを豊富に含むバランスの取れた食事を心がけることが重要です。

マンジャロで気分が上向く・抑うつ症状が改善する可能性はありますか?

一部の医療機関では、マンジャロがうつ症状を改善する可能性があると説明しています。

その根拠として、血糖値の乱高下が気分に与える影響を安定させること、体重減少による自己肯定感の向上や身体活動の活発化、GLP-1受容体の神経保護作用などが挙げられています。

しかし、これはマンジャロが抗うつ薬として作用するという意味ではありません。

あくまで、2型糖尿病や肥満という身体的な問題が改善されることに伴う、二次的・間接的な精神的恩恵である可能性が高いと考えられます。

根本的なうつ病の治療効果は期待できず、マンジャロ単独でうつ病が改善するわけではありません。

うつ病の治療には、抗うつ薬や精神療法といった専門的なアプローチが必要であり、マンジャロをその代替と考えるべきではありません。

うつ病などの精神疾患がある場合でもマンジャロを継続できますか?

ほとんどの医療機関では、うつ病などの活動性の精神疾患がある患者への新規のマンジャロ投与を推奨していません。

理由は、身体的副作用が精神状態を不安定にさせるリスクや、薬剤そのものが気分に与える影響がまだ完全には解明されていないためです。

治療中に気分の落ち込みや抑うつ症状が現れた場合は、自己判断で継続せず、速やかに処方医に相談する必要があります。

医師は症状の程度や原因を評価し、投与量の減量、一時的な休薬、あるいは治療の中止を検討します。

精神科や心療内科に通院中の場合は、処方医と精神科主治医が連携し、双方の同意のもとで治療方針を決定することが、患者の安全にとって最も重要です。

まとめ

マンジャロの副作用と精神症状との関連は、多くの利用者にとって気になるテーマです。

臨床試験の結果では、うつ病や自殺念慮のリスクが有意に高まることは確認されていませんが、服用初期に生じる吐き気や下痢、倦怠感といった身体的不調が長引くことで、気分の落ち込みややる気の低下につながる可能性があります。

そのため、精神的な変化を感じた場合には自己判断で中止せず、速やかに主治医へ相談することが極めて重要です。

また、精神疾患の既往歴がある場合や現在治療中の方は、症状悪化のリスクを考慮し、処方医と精神科医の両方と連携して治療を進める必要があります。

さらに、マンジャロをダイエット目的で適用外使用する場合は、日本の公的救済制度の対象外となり、副作用による経済的リスクもすべて自己責任となる点に十分注意が必要です。

安全に治療を続けるためには、投与手順を守り、食事や睡眠、運動といった生活習慣を整えることが欠かせません。

特に体重減少が急激すぎると体調不良や脱毛といった二次的な問題も生じやすいため、緩やかな減量を目指すことが推奨されます。

副作用への不安を少しでも軽減するには、信頼できる医療機関で正規の薬剤を用い、医師の指導を受けながら進めることが不可欠です。

近江今津駅前メンタルクリニックでは、精神的な健康も含めた丁寧なサポートを行っており、メディカルダイエットの安全な活用を希望される方に適した相談環境を提供しています。

心身の両面から安心して治療を始めるために、まずは無料カウンセリングを予約し、自分に合った治療方針を確認してみてください。

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