薄毛や抜け毛の悩みは多くの方にとって深刻な問題であり、自信や精神面に大きな影響を与えます。

特に男性型脱毛症(AGA)は進行性であるため、早期の対策が重要です。

どこに相談すべきか迷う方も多いでしょうが、身近な医療機関である「皮膚科」も選択肢の一つとなります。

しかし、皮膚科でのAGA治療はどのようなものなのか、専門クリニックとの違いは何か、費用はどのくらいかかるのか、疑問は尽きないでしょう。

この記事では、皮膚科におけるAGA治療の位置づけを明確にし、専門クリニックとの違い、具体的な治療内容、保険適用の有無、費用相場、そしてクリニック選びのポイントまでを詳しく解説します。

この情報があなたの状況に合った最適な治療選択の一助となることを願っています。

AGA治療と皮膚科の関係

AGA治療を検討する上で、皮膚科がどのような役割を担うのかを理解することは重要です。
皮膚科は皮膚、毛髪、爪に関する疾患全般を扱う診療科であり、脱毛症もその診療範囲に含まれます。
皮膚科医はAGAだけでなく、円形脱毛症や脂漏性皮膚炎など様々な原因による脱毛症を診断し鑑別できるスペシャリストです。

ただし、一般的な皮膚科ではAGA治療を専門的に行っているわけではなく、皮膚疾患全般の中の一つとして扱われることが多いです。
そのため、AGA治療に関する経験や知識、提供できる治療の選択肢はAGA専門クリニックと比較すると限定的である可能性があります。
皮膚科を受診する際は、その医師がAGA治療にどの程度の専門性を持っているかを確認するとよいでしょう。

AGAとは?

AGA(Androgenetic Alopecia/男性型脱毛症)は、主に成人男性に見られる進行性の脱毛症です。
思春期以降に発症し、徐々に薄毛が進行していくという特徴があります。

その主な原因は、男性ホルモンの一種であるテストステロンが、毛包に存在する酵素「5α-還元酵素」によってより強力なジヒドロテストステロン(DHT)に変換されることです。
このDHTが毛乳頭細胞にあるアンドロゲン受容体と結合すると、髪の成長期が短縮され、髪が十分に太く長く成長する前に抜け落ちてしまいます。
これを繰り返すうちに、髪は細く短くなり、最終的には地肌が目立つようになります。

AGAは特徴的なパターンで薄毛が進行します。
多くの場合、額の生え際(特にM字部分)や頭頂部(つむじ周辺、O字型)から薄くなり始め、徐々に範囲が広がっていきます。
人によっては、生え際と頭頂部の両方から同時に進行することもあります。
重要なのは、AGAが「進行性」であるという点です。
治療を行わなければ、薄毛は自然に改善することはなく、多くの場合、時間をかけて確実に進行していきます。

皮膚科でのAGA治療の立ち位置

皮膚科でAGA治療を受ける際に、最も注意すべき点の一つが費用と保険適用の関係です。
日本の公的医療保険制度は、生命に関わる病気や日常生活に支障をきたす疾患の治療を主な対象としています。
AGA治療は外見上の問題やQOL(生活の質)に関わるものの、直接的に生命を脅かす病気とはみなされないため、原則として保険適用外となります。

これは美容整形などと同様の扱いであり、治療にかかる費用は全額自己負担の自由診療となります。
この点は非常に重要であり、「一般の病院の皮膚科なら保険が効くのでは?」という誤解が生じやすい部分です。
AGA治療を目的として皮膚科を受診した場合、診察料や処方されるAGA治療薬(フィナステリド、デュタステリド、ミノキシジルなど)は自由診療として扱われます。

ただし、例外もあります。
もし薄毛の原因が保険適用となる別の皮膚疾患(例えば、重度の脂漏性皮膚炎や円形脱毛症など)であると診断された場合、その皮膚疾患自体の治療には保険が適用される可能性があります。
しかし、その場合でもAGAの進行抑制や発毛を目的としたAGA治療薬の処方は原則として自由診療のままです。

皮膚科で受けられるAGA治療の種類

一般的な皮膚科で提供されるAGA治療は、日本皮膚科学会の診療ガイドラインに基づいた薬物療法が中心となります。
具体的には、内服薬と外用薬による治療が主な選択肢です。
これらの治療法はAGAの進行を抑制し、場合によっては毛髪の状態を改善する効果が期待できます。

ただし、より高度な治療(注入療法や自毛植毛など)は一般の皮膚科では通常提供されておらず、AGA専門クリニックや美容皮膚科を受診する必要があることが多いです。
皮膚科では基本的な薬物療法を中心に、患者の症状や希望に合わせた治療計画を立てることになります。

投薬治療(保険適用)の範囲

繰り返しになりますが、AGA(男性型脱毛症)そのものを対象とした治療薬(フィナステリド、デュタステリド、ミノキシジルなど)は、皮膚科であっても保険適用外(自由診療)です。

保険が適用される可能性があるのは、薄毛の原因が保険診療の対象となる別の皮膚疾患であると診断された場合です。
例えば、以下のようなケースが考えられます。

  • 円形脱毛症: 自己免疫疾患の一つとされ、一部の治療(ステロイド外用・局所注射など)は保険適用となります。ただし、効果的な治療とされる局所免疫療法などは自由診療となることが多いです。
  • 脂漏性皮膚炎: 頭皮の過剰な皮脂分泌やマラセチア菌の増殖による炎症で、フケやかゆみ、脱毛を引き起こすことがあります。この皮膚炎自体の治療(抗真菌薬、ステロイド外用薬など)は保険適用となる場合があります。
  • 接触皮膚炎: シャンプーや整髪料などが原因で頭皮に炎症が起こり、脱毛につながる場合、原因物質の特定と炎症を抑える治療(ステロイド外用薬など)が保険適用となることがあります。

これらの保険適用となる薬剤は、あくまで原因となっている皮膚疾患を治療するためのものであり、AGAに対する直接的な発毛効果を目的としたものではありません。

外用薬・その他の対症療法

皮膚科で処方されるAGA治療の外用薬としては、ミノキシジルが中心となります。
ミノキシジル外用薬は発毛促進効果が認められており、皮膚科では市販薬よりも高濃度のものが処方可能です。
濃度が高いほど効果が期待できる可能性がありますが、副作用のリスクも考慮する必要があるため、医師の診察のもとで適切な濃度を選択することが重要です。

また、皮膚科医は頭皮環境を整える観点から、特定の薬用シャンプーや保湿剤などを推奨することがあります。
特に、フケ、かゆみ、乾燥、脂性などの頭皮トラブルがある場合には、症状に応じた製品の選択が役立ちます。
ただし、これらはあくまで頭皮環境を整えるための補助的な役割であり、AGAの根本的な進行を抑制したり、発毛を直接促したりするものではない点を理解しておく必要があります。

治療においては、医学的根拠に基づいた処方薬(ミノキシジルなど)と、頭皮環境を整えるための適切なセルフケア(シャンプー方法の見直しなど)を組み合わせることが大切です。

レーザー・注射療法

低出力レーザー治療(LLLT)、メソセラピー、PRP療法といった治療法は、主にAGA専門クリニックや美容皮膚科で提供されることが多く、一般的な皮膚科での導入は限られています。
これらは全て自由診療となります。

  • レーザー治療 (LLLT): 特定の波長の低出力レーザーやLEDを頭皮に照射することで、毛包の細胞を活性化させ、血行を促進し、発毛をサポートするとされています。クリニックでの施術のほか、家庭用機器も存在しますが、効果や安全性については医師への相談が推奨されます。費用は1回あたり数千円から数万円程度が目安です。
  • メソセラピー: 発毛に必要なビタミン、ミネラル、アミノ酸、成長因子、あるいはミノキシジルなどの薬剤をブレンドしたものを、微細な針(注射やダーマペンなど)や特殊な導入機器を用いて頭皮の深層に直接届ける治療法です。使用する薬剤や注入方法によって費用は大きく異なり、1回あたり数万円から十数万円程度が相場です。
  • PRP療法: 患者自身の血液を採取し、遠心分離機で血小板を濃縮したPRP(多血小板血漿)を作成します。このPRPには多くの成長因子が含まれており、これを頭皮に注入することで、毛包の活性化や発毛促進効果が期待されます。費用は1回あたり十数万円から数十万円程度が相場です。

これらの治療法は、内服薬や外用薬だけでは効果が不十分な場合や、より積極的な発毛を希望する場合に検討されますが、費用が高額になる傾向があります。
一般的な皮膚科でこれらの治療を希望する場合は、事前に取り扱いがあるかを確認する必要があります。

皮膚科とAGA専門クリニックの違い

AGA治療を検討する際、一般の皮膚科とAGA専門クリニックのどちらを選ぶべきか迷う方は少なくありません。
両者にはそれぞれ特徴があり、提供される医療サービスにも違いがあります。

皮膚科は皮膚に関するあらゆる疾患を幅広く診療し、AGAもその中の一つとして扱いますが、必ずしもAGA治療を最優先、あるいは専門的に行っているわけではありません。
一方、AGA専門クリニックは名前の通り、AGA(男性型脱毛症)やFAGA(女性男性型脱毛症)など、薄毛・抜け毛治療に特化しています。
医師やスタッフはAGAに関する深い知識と豊富な治療経験を持っていることが期待されます。

以下の表は、皮膚科とAGA専門クリニックの主な違いをまとめたものです。

特徴 一般皮膚科 AGA専門クリニック
専門性 皮膚疾患全般(AGAはその一つ) 主にAGA・薄毛治療に特化
診察・検査 主に視診 視診+マイクロスコープ、血液検査、遺伝子検査(オプション)
主な治療法 基本的な内服・外用薬(フィナステリド、デュタステリド、ミノキシジル) 基本薬+注入療法(メソ、HARG、PRP)、LLLT、自毛植毛など
治療目標 現状維持・進行抑制が中心 積極的な発毛・改善を含む
費用 AGA治療は自由診療。費用構造は比較的シンプル 自由診療。費用範囲は広い。ジェネリックやオンラインで安価なプランも。高度治療は高額。
保険適用 AGA治療は適用外。別の皮膚疾患には適用される可能性あり AGA治療は基本的に適用外
オンライン診療 少ない、または限定的 広く普及、初診から可能な場合も

どちらを選ぶかは個人の状況や優先順位によって異なります。
手軽さや他の皮膚疾患の可能性も考慮するなら皮膚科、AGAに特化した深い診断や多様な治療選択肢を求めるなら専門クリニックが適していると言えるでしょう。

検査・診察体制の違い

診察や検査の方法においても、皮膚科とAGA専門クリニックでは違いが見られます。
一般的な皮膚科では、医師の目による視診が主な診断手段です。
一方、AGA専門クリニックでは、頭皮や毛穴の状態、毛髪の太さや密度を数十倍から数百倍に拡大して観察できるマイクロスコープやダーモスコピーを用いることが多く、より客観的で詳細な状態把握が可能です。

また、AGA専門クリニックでは、治療薬の副作用リスクを評価したり、全身の健康状態を確認したり、あるいは他の脱毛原因を除外したりするために、血液検査を実施することが一般的です。
さらに、必須ではありませんが、AGAの発症しやすさや特定の治療薬(フィナステリドなど)への反応性を予測する目的で、遺伝子検査をオプションとして提供しているクリニックもあります。
これに対し、一般の皮膚科でAGA診療のためにこれらの検査をルーチンで行うことは稀です。

近年、特にAGA専門クリニックではオンライン診療の導入が進んでいます。
これにより、遠方に住んでいる方や多忙な方でも、自宅からビデオ通話などで診察を受け、薬を郵送してもらうことが可能になります。
初診からオンライン対応が可能なクリニックも増えています。
一般の皮膚科でもオンライン診療を行う施設はありますが、AGA治療に特化したオンライン体制は専門クリニックの方が充実している傾向があります。

治療メニューの豊富さ

提供される治療法の種類も、両者間の大きな違いです。
皮膚科の主な治療メニューは、日本皮膚科学会のガイドラインで推奨されている内服薬(フィナステリド、デュタステリド)と外用薬(ミノキシジル)の処方です。
これら以外の治療法、特に注入療法や自毛植毛などは、ほとんどの一般皮膚科では行われていません。

一方、AGA専門クリニックでは、上記の基本的な内服薬・外用薬(ジェネリック医薬品を含む)に加え、より多様な治療オプションを提供しています。
具体的には、注入療法(発毛メソセラピー、HARG療法、PRP療法など)や、低出力レーザー治療(LLLT)、自毛植毛(後頭部などから自身の毛髪を採取し、薄毛部分に移植する外科手術)などが含まれます。

この治療メニューの豊富さにより、AGA専門クリニックでは、患者一人ひとりの症状の進行度、治療への反応、予算、ライフスタイルに合わせて、複数の治療法を組み合わせるなど、より個別化された(オーダーメイドの)治療計画を立てることが可能になります。
一方、皮膚科では、より標準化された薬物療法が中心となります。

費用面・保険適用の違い

費用と保険適用については、誤解が生じやすいため、再度整理します。
何度も強調しますが、AGA治療は、その目的が容姿の改善やQOL向上とみなされるため、皮膚科・AGA専門クリニックのいずれにおいても、公的医療保険の適用対象外(自由診療)です。
治療費は全額自己負担となります。

費用構造については、皮膚科では費用は主に診察料(初診・再診)と、処方される基本的なAGA治療薬の代金で構成されます。
治療の選択肢が少ないため、費用構造は比較的単純ですが、ジェネリック医薬品の取り扱いがない場合は、薬代が割高になる可能性もあります。

一方、AGA専門クリニックでは治療メニューが豊富なため、費用も多岐にわたります。
基本的な内服薬・外用薬プランの場合、ジェネリック医薬品の選択やオンライン診療の活用、まとめ買い割引などにより、月々の費用を皮膚科と同等かそれ以下に抑えられる場合があります。
一方で、注入療法や自毛植毛などの高度な治療を選択すると、1回あたり数万円から数十万円、あるいは数百万円といった高額な費用が必要になります。

「皮膚科の方が安い」というイメージがあるかもしれませんが、AGA治療(自由診療)に限って言えば、基本的な薬物療法を受ける場合の費用は、必ずしも皮膚科が安いとは限りません。
むしろ、ジェネリック医薬品を積極的に扱っているAGA専門クリニックの方が、同等の治療を安価に受けられる可能性もあります。

皮膚科クリニックの選び方・ポイント

もし、AGA治療の第一歩として、身近な一般の皮膚科を受診することを選択した場合、どのような点に注意してクリニックを選べば良いでしょうか。
AGA専門クリニックとは異なる視点でのポイントを解説します。

全ての皮膚科医がAGA治療に精通しているわけではありません。
まずは、そのクリニックや医師がAGA治療に積極的に取り組んでいるかを確認しましょう。
クリニックのウェブサイトにAGA治療に関する記載があるか、医師のプロフィールに毛髪疾患への言及があるかなどをチェックします。
日本皮膚科学会認定専門医であることは、皮膚科医としての基本的な知識と技量を示す一つの目安になります。

また、受診前にその皮膚科がAGAの基本的な治療薬(フィナステリド、デュタステリド、ミノキシジル外用薬)を処方しているかを確認することが不可欠です。
費用負担を軽減するために、ジェネリック医薬品の取り扱いがあるかも確認しておくと良いでしょう。

AGAの診断は主に視診で行われますが、頭皮の状態を丁寧に観察してくれるか、治療薬の効果や副作用について十分に説明してくれるか、患者の疑問や不安に耳を傾けてくれるか、といったコミュニケーションの質も重要です。

AGA治療は長期にわたることが多いため、通いやすさは重要な要素です。
自宅や職場からのアクセス、診療時間(平日夜間や土日診療の有無)、予約の取りやすさなどを考慮しましょう。
オンライン診療に対応していれば、特に薬の継続処方において利便性が高まります。

自由診療であるAGA治療では、費用に関する透明性が極めて重要です。
初診料、再診料、薬剤費など、かかる費用について事前に明確な説明があるか、ウェブサイトや院内に料金表が掲示されているかなどを確認しましょう。

医師の専門性・実績

皮膚科医を選ぶ際、まず基本的な指標となるのが日本皮膚科学会認定専門医の資格です。
これは、皮膚科領域全般に関する標準的な知識と技量を有していることを示します。

しかし、AGA治療においては、さらに一歩進んで、その医師が毛髪疾患、特にAGAに対してどの程度の関心や経験を持っているかを確認することが望ましいです。
クリニックのウェブサイトや医師の紹介ページに、「AGA診療」「男性型脱毛症」「毛髪外来」といったキーワードが含まれているか、関連する学会発表や論文発表の実績があるかなどを確認してみましょう。

ただし、一般皮膚科の場合、AGA専門クリニックほど顕著なAGA治療実績を公開しているケースは少ないかもしれません。
診察時に直接、AGA治療の経験について尋ねてみるのも一つの方法です。
医師の経験や知識は治療の質に直結するため、可能な限り事前に確認することをおすすめします。

設備・検査体制

一般の皮膚科クリニックに、AGA診断・治療に特化した高度な設備を期待するのは現実的ではありません。
通常の皮膚科診療に必要な基本的な設備は整っていますが、AGA専門クリニックと比較すると設備面では見劣りする場合が多いです。

頭皮や毛髪の状態を詳細に観察できるマイクロスコープ(ダーモスコープ)を導入している皮膚科もありますが、AGA診療でルーチンに使用されているとは限りません。
あれば、より詳細な状態把握に役立ちます。

AGA治療薬の副作用モニタリングや、他の脱毛原因を除外するための血液検査、あるいはAGAリスクを評価する遺伝子検査は、一般の皮膚科では通常行われません。
これらの検査は、主にAGA専門クリニックで提供されるものと考えられます。

したがって、皮膚科を選ぶ際には、高度な検査体制よりも、基本的な診察と、処方される薬剤に関する説明や管理体制を重視するのが適切でしょう。
必要最低限の診断設備があり、丁寧な診察と説明を行ってくれる医師かどうかがポイントとなります。

通院利便性

AGA治療は、効果を維持するために長期的な継続が必要です。
そのため、無理なく通院を続けられる利便性は非常に重要です。

まず立地について、自宅や勤務先の近く、あるいは駅に近い(駅近)など、アクセスしやすい場所にあるかを確認しましょう。
診療時間も重要で、自身のライフスタイルに合わせて通院できるよう、平日の夜間や土曜日・日曜日・祝日にも診療しているか(土日診療など)を確認します。

最近では一般の皮膚科でもオンライン診療を導入している場合があります。
初診は対面が必要でも、再診や薬の処方のみであればオンラインで対応可能か確認すると、通院の負担を大きく軽減できます。
オンライン診療に対応していれば、転勤や引っ越しがあっても継続的に治療を受けられるメリットがあります。

また、予約の取りやすさや待ち時間の短さも、長期通院の継続のしやすさに影響します。
事前にウェブサイトの口コミなどで確認しておくと良いでしょう。

料金提示の明確さ

AGA治療は自由診療であり、費用は全額自己負担となるため、料金体系の明確さはクリニック選びの重要なポイントです。

初診料、再診料、処方される薬剤(フィナステリド、デュタステリド、ミノキシジルなど)の1ヶ月あたりの費用などが、ウェブサイトや院内掲示、あるいは診察前の説明で明確に提示されているかを確認しましょう。
予期せぬ費用が後から発生しないよう、事前に総額の目安を確認しておくことが大切です。

また、継続的に通院することを考えると、定期的な再診料や検査料、薬代などの長期的な費用も把握しておく必要があります。
透明性の高い料金体系を提示しているクリニックは、患者との信頼関係を大切にしている証でもあります。
不明瞭な点があればその場で質問し、納得してから治療を開始することが重要です。

皮膚科でのAGA治療のメリット・デメリット

一般の皮膚科でAGA治療を受けることには、利点と欠点の両方があります。
まずメリットとしては、皮膚科クリニックは全国に数多く存在し、自宅や職場の近くで見つけやすいため通院しやすいという点があります。
また、AGAだけでなく、頭皮の湿疹、かゆみ、フケ、炎症など、他の皮膚トラブルが同時に存在する場合、皮膚科医はその診断と治療を行うことができます。
これらの皮膚疾患が抜け毛の原因や悪化因子となっている場合、その治療が保険適用となる可能性もあります。

さらに、髪だけでなく、皮膚全体の健康という広い視点から診察を受けられる可能性があり、AGA専門クリニックに行くことに抵抗がある場合でも、一般的な皮膚科であれば比較的気軽に相談しやすいと感じる方も多いでしょう。

一方、デメリットとしては提供される治療法が主に基本的な内服薬(フィナステリド、デュタステリド)と外用薬(ミノキシジル)に限られることがほとんどであることが挙げられます。
注入療法(メソセラピー、PRPなど)や自毛植毛といった、より高度な治療は通常行っていません。
また、皮膚科医は皮膚全般の専門家ですが、AGA治療に関する知識や経験の深さには個人差があります。
AGA治療に特に力を入れていない場合、最新の情報や多様な症例への対応力が専門クリニックに劣る可能性があります。

以下の表は、皮膚科でのAGA治療のメリットとデメリットをまとめたものです。

メリット デメリット
アクセスが良い、通いやすい 治療の選択肢が少ない(主に薬物療法)
他の皮膚疾患も診てもらえる(保険適用も) AGAに関する専門知識・経験にばらつきがある
皮膚全体の視点からの診療 治療目標が現状維持・進行抑制中心の場合がある
受診の心理的ハードルが低い場合がある 専門的な診断ツール(マイクロスコープ等)が少ない
プライバシーへの配慮が専門クリニックより少ない場合がある

結局のところ、皮膚科での治療が適しているかどうかは、個人の状況や治療に求めるものによって異なります。
初期のAGAで、まずは基本的な薬物療法を試したい、あるいは他の頭皮トラブルも相談したいという場合には、皮膚科は良い選択肢となり得ます。
しかし、より専門的な診断や多様な治療法、積極的な発毛効果を求めるのであれば、AGA専門クリニックの方が適している可能性が高いと言えます。

皮膚科治療の費用相場と保険適用の可否

皮膚科でAGA治療を受ける場合の費用について、具体的な相場と保険適用のルールを詳しく見ていきましょう。
最も重要な点として、AGA(男性型脱毛症)の治療自体は、皮膚科であっても自由診療となり、健康保険は適用されません。
治療にかかる費用は全額自己負担となります。
また、AGA治療費は、美容目的の医療とみなされるため、医療費控除の対象にもなりません。

保険が適用されるのは、あくまで脱毛の原因が脂漏性皮膚炎や円形脱毛症など、保険診療の対象となる別の疾患であると診断され、その疾患に対する治療が行われる場合に限られます。
この点は非常に重要で、多くの方が誤解しやすいポイントです。

皮膚科でのAGA治療(自由診療)にかかる費用の主な内訳と相場は以下の通りです。

  • 診察料

    • 初診料: 約3,000円~5,000円程度
    • 再診料: 約1,000円~3,000円程度
    • ※クリニックによっては、薬の処方があれば診察料が無料になる場合もあります
  • 薬剤費(1ヶ月あたり)

    • フィナステリド錠(ジェネリック): 約3,000円~7,000円程度
    • フィナステリド錠(先発品: プロペシア): 約7,000円~8,000円程度
    • デュタステリド錠(ジェネリック): 約7,000円~8,000円程度
    • デュタステリド錠(先発品: ザガーロ): 約9,000円~12,000円程度
    • ミノキシジル外用薬(処方薬): 約5,000円~15,000円程度(濃度や製品により変動)
  • 検査料

    • 血液検査: もし実施される場合(一般的ではない)、約5,000円~10,000円程度

上記相場に基づき、皮膚科での基本的なAGA治療にかかる費用の目安をシミュレーションしてみます(診察料は別途考慮が必要です)。

  • ケース1: ジェネリックのフィナステリド単剤治療

    • 月額: 約4,000円~7,000円
    • 年額: 約48,000円~84,000円
  • ケース2: ジェネリックのフィナステリド + ミノキシジル外用薬

    • 月額: 約9,000円~22,000円(フィナステリド約4,000~7,000円 + ミノキシジル約5,000~15,000円)
    • 年額: 約108,000円~264,000円

これらのシミュレーションはあくまで目安であり、実際の費用はクリニックや処方内容によって異なります。
しかし、AGA治療には継続的な費用負担が発生することを明確に示しています。
皮膚科でAGA治療を受ける際に費用を抑える主な方法は、ジェネリック医薬品を選択することです。
先発医薬品と同等の有効成分を含みながら、価格が安価に設定されているため、長期的な治療を考える際には大きな差となります。

AGA治療は長期にわたるため、月々の費用だけでなく、年単位での総額を見据えて、無理なく継続できる治療計画を立てることが重要です。
事前に費用について医師と相談し、自分の予算に合った治療プランを考えましょう。

まとめ

AGAは進行性の脱毛症であり、放置すると薄毛が確実に進行するため、早期の対策が不可欠です。
皮膚科は脱毛症を含む毛髪疾患全般を診療対象とし、視診をベースにフィナステリドやミノキシジル外用薬などの薬物療法を提供します。
AGA治療は美容目的とみなされ、保険適用外の自由診療となるため、費用は全額自己負担になります。
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