「医療ダイエット」は医学的根拠に基づく体重管理法として注目されています。

しかし、期待を込めて治療を始めたのに「痩せない」という現実に直面し、戸惑いを感じている方も少なくありません。
もし現在利用されているクリニックでの医療ダイエットで効果が出ていない場合は、治療法の見直しが必要かもしれません。

この記事では、医療ダイエットが期待通りの結果をもたらさない主な原因を医学的見地から解説し、効果を最大限に引き出すための実践的対策を提供します。

また、治療法の比較、費用、安全性についても詳しく説明します。

医療ダイエットは強力なツールですが、多くの場合、生活習慣全体の見直しを含む包括的なアプローチが成功への鍵となります。

医療ダイエットで痩せない原因

医療ダイエットに取り組んでも体重が減らない場合、その背景にはいくつかの要因が複合的に関与していることが多いです。
薬剤の可能性を最大限に発揮するには、これらの原因を理解し対処することが重要です。
現在のクリニックで医療ダイエットを受けているのに痩せないとお悩みの場合、以下の原因が考えられます。

主な原因として「食生活の問題」「運動不足と基礎代謝の低下」「薬剤の服用方法の誤り」の3点を詳しく見ていきましょう。

食生活の問題(カロリー過多・栄養バランスの偏り)

医療ダイエットで使用されるGLP-1受容体作動薬などは食欲を抑制する効果が期待されますが、これは魔法の杖ではありません。
最も基本的な原則として、摂取カロリーが消費カロリーを上回っていれば、どのような薬物療法を行っても体重は減少しません。
薬によって食欲が抑えられても、高カロリーな食事や頻繁な間食があれば、減量効果は相殺されてしまいます。

「食べていないのに痩せない」という訴えの多くは、実際の摂取カロリーの過小評価に起因します。
日々の食事内容や間食を正確に記録・計算していない、あるいは食品のカロリーを低く見積もっているケースが少なくありません。
医療ダイエットの成功には、まず自身の摂取カロリーを正確に把握することが不可欠です。

摂取する「量」だけでなく「質」も極めて重要です。
揚げ物やジャンクフード、糖質の多い菓子類などを中心とした食生活や、ご飯や麺類に偏った食事は、血糖値の急上昇を招きやすく、インスリンの過剰分泌を通じて脂肪の蓄積を促進する可能性があります。
低カロリーでも血糖値を急上昇させる食品は、高カロリーでも糖質が少ない食品よりも脂肪蓄積につながりやすい側面もあります。

栄養バランスの偏りも問題です。
特に、満腹感の維持や筋肉量の保持に必要なタンパク質の不足、満腹感や腸内環境に関わる食物繊維の不足は、持続可能な体重減少を困難にします。
ビタミンやミネラルが不足すると、細胞のエネルギー産生工場であるミトコンドリアの働きが低下し、カロリー制限をしても代謝がうまく回らず、逆効果になる可能性も指摘されています。

アルコールの摂取も注意が必要です。
アルコール自体にカロリーがあるだけでなく、多くのお酒には糖質が多く含まれています。
また、過度の飲酒はGLP-1の作用に関わる膵臓に負担をかけ、薬の効果を減弱させる可能性も考えられます。

運動不足と基礎代謝の低下

医療ダイエットの効果を実感できないもう一つの大きな要因は、運動不足とそれに伴う基礎代謝量の低下です。
基礎代謝量(BMR)とは、安静時に生命維持のために消費されるエネルギーのことで、その大部分は筋肉量によって左右されます。
運動不足は筋肉量の減少を招き、基礎代謝量の低下に直結します。

この問題は、医療ダイエットによる食事量(摂取カロリー)の減少と組み合わさることで、さらに深刻化する可能性があります。
摂取カロリーが減ると、体はエネルギーを節約しようとして自然に基礎代謝を落とす傾向があります。
ここで運動、特に筋肉を維持・増強するような運動を行わないと、筋肉の分解が進み、代謝の低下が加速します。
これにより、体重減少は停滞しやすくなり、治療終了後にリバウンドするリスクも高まります。

運動の役割は単にカロリーを消費することだけではありません。
医療ダイエットと並行して行う運動の重要な意義は、筋肉量を維持・増加させることで基礎代謝量を高く保ち、痩せやすく太りにくい体質を作ることです。
運動だけで痩せるのは難しいことが多いですが、食事管理と組み合わせることで、ダイエットの効率と質を高めることができます。

現代の生活様式、特にデスクワーク中心の仕事は、日常生活における活動量(非運動性熱産生 – NEAT)を低下させ、総エネルギー消費量をさらに減少させる要因となります。
医療ダイエットは「無理な運動は不要」とも言われますが、これを「全く運動しなくて良い」と誤解してはいけません。
多くの医学的見地は、何らかの身体活動を取り入れることが、治療効果の向上、基礎代謝の維持、そしてリバウンド防止に重要であると強調しています。

薬剤の服用方法の誤り

医療ダイエットで使用される薬剤、特にGLP-1受容体作動薬(リベルサス、サクセンダ、オゼンピックなど)は、効果を最大限に発揮するために厳格な服用・投与方法を守る必要があります。
これらの指示に従わない場合、薬剤が適切に吸収されなかったり、期待される効果が得られなかったりする主な原因となります。

経口GLP-1受容体作動薬(リベルサス)の一般的な誤りには以下のようなものがあります。
当院では経口薬のリベルサス(3mg~14mg)を取り扱っており、朝1錠の服用で習慣化しやすい薬剤です。
ただし、正しい服用方法を守らないと効果が出にくくなります。

  • 服用タイミング: 必ず1日の最初の飲食前、つまり空腹時に服用する必要があります。食後や不規則な時間に服用すると、薬剤の吸収が著しく低下します。
  • 水の量: 服用時には、コップ半分程度(約120mL以下)の少量の水で服用することが推奨されています。多量の水で服用すると、胃の中で薬剤の濃度が薄まり、吸収効率が低下する可能性があります。
  • 服用後の待機時間: 服用後、少なくとも30分間は、他の飲食物(水を含む)や薬剤の摂取を避ける必要があります。この時間を守ることで、薬剤が適切に吸収されるための環境が保たれます。

注射用GLP-1受容体作動薬(サクセンダ、オゼンピックなど)に関する一般的な誤りには以下があります。
当院ではオゼンピックやマンジャロなどの週1回の注射タイプを提供しており、これらは薬剤が充填済みのペン型注射器を使用するため使い方はシンプルですが、正しい使用法が重要です。

  • 投与タイミング: 毎日投与するタイプは毎日決まった時間に、週1回投与するタイプは毎週決められた曜日に投与する規則性を守る必要があります。
  • 投与手技: 正しい皮下注射の技術が不可欠です。筋肉内に注射してしまうと、効果が高まるわけではなく、吸収速度が変わったり、副作用が強く出たりする可能性があります。また、毎回同じ部位に注射を続けると皮膚が硬くなり、薬剤の吸収が悪くなることがあるため、注射部位を適切にローテーションすることが推奨されます。

いずれの薬剤においても、用量の問題も効果を左右します。
処方された用量よりも少なく使用したり、自己判断で急激に増量したりすると、効果不十分や副作用の増強につながります。
用量は、効果と副作用のバランスを見ながら、必ず医師の指示のもとで調整する必要があります。
効果が見られない場合に、医師が薬剤の種類変更を検討することもあります。

現在のクリニックで医療ダイエットをしているのに痩せないとお悩みの場合、薬剤の選択や用量調整が適切でない可能性があります。
当院では日本肥満学会員の医師が、オンライン診療を通じてあなたに最適な薬剤と用量を提案いたします。

医療ダイエットの効果を引き出す方法

医療ダイエットで「痩せない」という問題を克服し、その効果を最大限に引き出すためには、単に薬を服用するだけでなく、積極的な取り組みが必要です。
薬剤の正しい使用を徹底することはもちろん、食生活の改善や運動習慣の導入といった生活習慣の見直しを、専門家の指導のもとで行うことが成功への鍵となります。

正しい服用方法の確認

医療ダイエットの基盤となるのは、処方された薬剤を指示通りに正しく使用することです。
効果を最大限に引き出し、安全性を確保するためには、以下の点が極めて重要です。

  • 用法・用量の厳守: 医師から指示された用量、服用・投与のタイミング、そして投与方法を、自己判断で変更せず、厳密に守ることが必須です。例えば、リベルサスは起床時空腹時に、サクセンダは毎日一定時刻に使用します。
  • 医師との連携: 効果の現れ方や副作用の有無には個人差があります。自己判断で用量を変更したり、中断したりせず、必ず定期的に医師の診察を受け、状況を報告し相談することが重要です。効果が不十分な場合や副作用が気になる場合、医師は用量の調整や、場合によっては他の薬剤への変更を検討します。
  • ルールの理解: なぜ特定の服用方法が指示されているのかを理解することで、アドヒアランス(指示遵守)の意識が高まります。不明な点は遠慮なく医師や薬剤師に質問しましょう。
  • トラブルシューティング: 注射部位の反応(痛み、赤みなど)や注射ペンの不具合など、使用中に問題が発生した場合は、速やかにクリニックに連絡し、指示を仰ぐことが大切です。注射前の空打ち(プライミング)など、忘れがちな手順も再確認しましょう。

これらの点を確実に実行するためには、患者自身が治療に対して受け身ではなく、能動的な役割を担う必要があります。
処方された薬剤の情報を正しく理解し、日々の投与・服用を正確に実行し、体調の変化や疑問点を速やかに医療提供者と共有する。
この積極的な関与が、治療の成功確率を高める上で不可欠な要素となります。

当院では10,000件以上の診療経験を持つ日本肥満学会員の医師が、オンライン診療を通じてあなたに最適な薬剤の選択や用量調整を行い、効果を最大限に引き出すサポートをいたします。
現在の医療ダイエットで効果が出ない場合は、一度ご相談ください。

食生活の改善法

医療ダイエットの効果を高めるためには、薬剤の力だけに頼るのではなく、食生活そのものを見直し、改善していくことが極めて重要です。
これは単に失敗を避けるためだけでなく、治療効果を積極的に増強するための戦略です。

  • 栄養バランスの重視: カロリー制限だけでなく、栄養バランスの取れた食事を心がけることが基本です。特に、筋肉の維持と満腹感に寄与するタンパク質(肉、魚、大豆製品など)、血糖値の安定や満腹感、腸内環境に関わる食物繊維を多く含む野菜、果物、海藻類などを積極的に摂取しましょう。一方で、血糖値を急上昇させやすい精製された糖質(菓子、ジュース、白米、パンなど)や、質の悪い脂質(揚げ物、加工食品など)は控えるべきです。エネルギー密度が低い食材、例えば野菜、きのこ類、海藻類、赤身の肉、皮なしの鶏肉などを中心に献立を考えると、満腹感を得ながら摂取カロリーを抑えやすくなります。
  • 食事の摂り方: 早食いを避け、よく噛んでゆっくり食べる習慣をつけましょう。満腹中枢が刺激されるまでには約20分かかると言われており、ゆっくり食べることで食べ過ぎを防ぎやすくなります。一口の量を減らす、噛む回数を意識するなどの工夫も有効です。
  • 食事時間と規則性: 1日3食、なるべく決まった時間に食事をとることで、血糖値の変動を抑え、食欲を安定させる助けになります。特に、夜遅い時間の食事はエネルギーとして消費されにくく脂肪として蓄積されやすいため、避けるようにしましょう。
  • 間食の管理: 高カロリーで栄養価の低いスナック菓子や甘い飲み物などの間食は、体重減少の妨げとなります。間食を完全に断つのが難しい場合は、果物、ヨーグルト、ナッツなど、より健康的な選択肢に切り替えましょう。また、間食した分も総摂取カロリーに含めて計算することを忘れないようにします。
  • 水分補給: 十分な水分摂取は、代謝を助け、便秘解消にもつながる場合があります。特にSGLT2阻害薬を使用している場合は、脱水予防のために意識的な水分補給が重要です。
  • アルコールの制限: アルコールはカロリーが高く、糖質を多く含むものもあるため、摂取量を控えめにすることが推奨されます。

これらの食生活の改善は、単なる「我慢」や「制限」ではなく、医療ダイエットという投資から最大限の効果を引き出すための、積極的かつ合理的な戦略と捉えることが、継続へのモチベーションにつながるでしょう。

運動の取り入れ方

医療ダイエットの効果を最大化し、健康的で持続可能な結果を得るためには、適切な運動を生活に取り入れることが推奨されます。
運動は単にカロリーを消費するだけでなく、基礎代謝の維持、体組成の改善、そしてリバウンド防止に重要な役割を果たします。

  • 運動の種類: 有酸素運動と筋力トレーニングを組み合わせることが理想的です。

    • 有酸素運動: ウォーキング、ジョギング、水泳、サイクリング、階段昇降などは、脂肪燃焼を促進し、心血管系の健康を向上させます。1回20分以上続けると脂肪燃焼効果が高まるとされています。
    • 筋力トレーニング: 筋肉量を維持・増加させることは、基礎代謝量を高く保つために不可欠です。体重が減っても筋肉量が落ちてしまうと、代謝が低下し、痩せにくくリバウンドしやすい体になってしまいます。引き締まった体型を目指す場合にも筋トレは重要です。
  • 始め方と強度: これまで運動習慣がなかった人は、無理のない範囲から始めることが大切です。日常生活の中で活動量を増やす工夫(例:一駅分歩く、エレベーターではなく階段を使う、家事をしながら筋肉を意識する)から始め、徐々にウォーキングなどの軽い運動を取り入れていくのが良いでしょう。GLP-1受容体作動薬などを使用している場合、過度な運動は低血糖のリスクを高める可能性があるため避けるべきです。適度な負荷で行うことが重要です。
  • 習慣化のコツ: 短期間の激しい運動よりも、長期的に継続できることが重要です。自分が楽しめる活動を見つけ、無理のないスケジュールで生活に組み込むことが成功の鍵となります。ダイエットの本質は「太らない習慣を身につけること」であり、その習慣を一生続けられるかどうかという視点で運動を選ぶことが推奨されます。

運動を「カロリーを燃やすためだけの苦行」と捉えるのではなく、「基礎代謝を維持し、体組成を改善し、リバウンドを防ぐための重要な投資」と位置づけることで、医療ダイエットの効果をより確実かつ持続的なものにすることができます。

当院では患者様一人ひとりの生活習慣や体力に合わせた運動プランのアドバイスも行っています。
医療ダイエットで痩せないとお悩みの方は、当院のオンライン診療をぜひご利用ください。

他のメディカルダイエット治療との比較

現在、医療ダイエットには様々な選択肢が存在します。
もし現在試みている治療法で「痩せない」と感じている場合、他の治療法がより適している可能性も考えられます。
各治療法は作用機序、効果、副作用、適応となる体型やライフスタイルが異なります。

GLP‑1受容体作動薬 vs SGLT2阻害薬 vs 経口薬/注射

医療ダイエットで用いられる主な薬剤には、それぞれ特徴的な作用機序と効果、注意点があります。
個々の状況に合わせて最適な薬剤を選択することが重要です。

薬剤クラス 主な薬剤例 作用機序 主な効果 投与方法 主な副作用 費用相場(月額) 適した人
GLP-1受容体作動薬 リベルサス(経口), サクセンダ(注射), オゼンピック(注射), マンジャロ(注射) GLP-1(+GIP)ホルモン作用を模倣 食欲抑制、満腹感促進、胃排出遅延、血糖安定化、基礎代謝向上可能性 経口(毎日)または注射(毎日/週1回) 消化器症状(吐き気、嘔吐、下痢、便秘), 低血糖(併用時), 稀に膵炎・胆嚢障害 ¥6,000~¥80,000+ 食欲コントロールが難しい人
SGLT2阻害薬 フォシーガ, カナグル, ジャディアンスなど 腎臓での糖再吸収を阻害し、尿中へ糖を排出 糖質カロリー排出(約200-500kcal/日), 体重減少(中程度), 血糖低下, むくみ改善可能性 経口(毎日) 尿路・性器感染症, 脱水, 口渇, 稀にケトアシドーシス ¥15,000~¥27,500 糖質摂取が多い人、強い食欲抑制を避けたい人
脂肪吸収阻害薬 オルリファスト, ゼニカル 消化管での脂肪分解酵素(リパーゼ)を阻害し、脂肪吸収を抑制 食事由来の脂肪吸収を約30%カット 経口(食事毎) 油性便、油漏れ、放屁、便意切迫, 脂溶性ビタミン不足 ¥9,000~¥18,000 脂っこい食事が好きな人
食欲抑制剤(中枢性) サノレックス(マジンドール) 中枢神経系に作用し食欲を抑制 強力な食欲抑制 経口(毎日) 口渇、便秘、不眠, 動悸, 血圧上昇, 依存性, 短期使用限定(最大3ヶ月) ¥15,000~¥27,500 高度肥満症(BMI35以上など)で医師の厳重管理下
漢方薬 防風通聖散, 防已黄耆湯など 多成分による複合的作用(代謝促進、利水、便通改善など) 脂肪燃焼促進, むくみ改善, 便秘改善, 体質改善 経口(毎日2-3回) 胃腸症状, 皮膚症状, 稀に肝障害・間質性肺炎など, 体質との相性あり ¥3,000~¥9,000 肥満に伴う便秘・むくみがある人、体質(実証など)に合う人

各薬剤クラスの詳細

  • GLP-1受容体作動薬: 近年注目されている薬剤で、食欲抑制効果が高く、体重減少効果も大きいとされています。特にチルゼパチド(マンジャロ)はGLP-1とGIPのデュアルアゴニストであり、既存薬よりも強力な効果が報告されています。注射薬と経口薬があり、ライフスタイルに合わせて選択できますが、注射薬の方がやや効果が高い傾向にあるとの報告もあります。消化器系の副作用が比較的一般的ですが、多くは時間とともに軽減します。
  • SGLT2阻害薬: 主に糖尿病治療薬として開発されましたが、尿中に糖を排出することでカロリーロスを生み、体重減少効果も認められています。GLP-1作動薬ほどの強力な食欲抑制はありませんが、「糖質制限」に近い効果を薬で得たい場合に選択肢となります。脱水や性器・尿路感染症のリスクに注意が必要です。
  • 脂肪吸収阻害薬(オルリファスト/ゼニカル): 食事中の脂肪吸収を直接阻害するため、脂質の多い食事を摂る機会が多い人に向いています。効果が食事内容に依存し、特徴的な副作用(油漏れなど)への対策が必要です。脂溶性ビタミンの補給も考慮すべき点です。
  • 食欲抑制剤(サノレックス): 中枢神経に作用し強力に食欲を抑えますが、依存性や耐性のリスク、循環器系への影響などから、適用は高度肥満症(BMI35以上など)に限られ、使用期間も最大3ヶ月と厳しく制限されています。
  • 漢方薬(防風通聖散など): 体質(例:体力があり便秘がちで腹部に脂肪が多い「実証」タイプ)に合わせて処方され、脂肪燃焼、水分代謝改善、便通改善などの効果が期待されます。比較的安価ですが、効果には個人差があり、体質に合わない場合は副作用のリスクもあります。

このように、薬剤ごとに作用機序、効果の強さ、副作用プロファイル、費用、投与方法が大きく異なります。
どの薬剤が最適かは、個人の肥満の原因(食欲の問題か、代謝の問題か、食事内容か)、健康状態、ライフスタイル、副作用への許容度などを総合的に判断して、医師と相談の上で決定する必要があります。
一つの治療法で効果が出ない場合に、他の選択肢を検討することも重要です。

現在の医療ダイエット治療で効果が出ない場合、治療法の変更を検討する時期かもしれません。
当院では、GLP-1受容体作動薬として経口薬のリベルサス(3mg:20,000円、7mg:40,000円、14mg:55,000円)と注射薬のオゼンピック(0.25mg×2キット:17,000円)、GIP/GLP-1二重作動薬のマンジャロ(2.5mg~15mg:10,000円~30,000円)など多様な選択肢を取り揃えています。
オンライン診療を通じて、あなたに最適な治療法を提案いたします。

医療ダイエットの費用・保険適用

医療ダイエットを検討する上で、費用と保険適用の有無は非常に重要な要素です。
多くの場合、医療ダイエットは公的医療保険の適用外となり、全額自己負担の自由診療となるため、相応の費用がかかることを理解しておく必要があります。

費用の内訳

医療ダイエットの総費用は、いくつかの要素から構成されます。
治療内容や期間によって大きく変動しますが、主な内訳は以下の通りです。

  • 診察料(初診料・再診料): 初めてクリニックを受診する際の初診料と、その後の定期的な診察にかかる再診料です。クリニックによっては、これらの診察料が無料の場合もありますが、有料の場合、初診料で数千円(例: ¥1,000~¥7,000程度)、再診料で数千円程度かかることが一般的です。
  • 薬剤費: 治療の中心となる薬剤の費用で、多くの場合、最も大きな割合を占める継続的な出費となります。薬剤の種類や用量、処方期間によって費用は大きく異なります。月額の目安としては、

    • GLP-1受容体作動薬(注射・経口): 約¥6,000~¥80,000以上
    • SGLT2阻害薬: 約¥15,000~¥27,500
    • 脂肪吸収阻害薬(オルリファスト等): 約¥9,000~¥18,000
    • 食欲抑制剤(サノレックス): 約¥15,000~¥27,500
    • 漢方薬(防風通聖散等): 約¥3,000~¥9,000
  • 検査費: 治療開始前や治療中に、健康状態や治療効果を確認するために行われる検査の費用です。血液検査は約¥5,500程度、体組成測定や遺伝子検査は別途費用(例:遺伝子検査で約¥33,000)がかかる場合があります。
  • 医療機器による施術費用: 脂肪冷却、医療用EMS、HIFEM、ハイフなどの機器を使用する場合、1回あたり、あるいは部位ごとに費用が発生します。脂肪冷却は1エリアあたり¥20,000~¥50,000以上、医療用EMSやHIFEMはコースによって数十万円から数百万円と、治療法によって費用は大きく異なります。

これらの費用が積み重なるため、特に数ヶ月にわたる治療プログラムの場合、総額は数十万円から、場合によっては百万円を超えることもあります。
治療を開始する前に、総額の見積もりと支払い計画について、クリニックと十分に相談することが不可欠です。

この費用の高さは、医療ダイエットの大きな障壁となり得ます。
経済的な理由から、安価に見える個人輸入などの非正規ルートに頼ろうとするケースも考えられますが、これには偽造品や健康被害といった深刻なリスクが伴います。
正規の医療機関での治療は費用がかかりますが、安全性と効果の確実性を考慮すると、長期的に見て、また健康を守るという観点から、最も合理的な選択と言えます。

保険適用の可否と自己負担

原則として、美容目的や、医学的に必須とはみなされない一般的な体重減少を目的とした医療ダイエットは、公的医療保険の適用対象外であり、「自由診療」となります。
これは、日本の医療保険制度が、病気や怪我の「治療」を目的としており、主に審美的な改善やライフスタイルの選択とみなされる行為は対象外となるためです。
自由診療の場合、費用は全額自己負担となります。

また、医療ダイエットでよく用いられるGLP-1受容体作動薬やSGLT2阻害薬の多くは、本来、糖尿病治療薬として承認されており、肥満治療目的での使用は「適応外使用(オフラベル使用)」にあたる場合があります。
適応外使用の場合、原則として保険適用はされません。

ただし、例外的に医療ダイエット(減量治療)が保険適用となるケースも存在します。
それは、肥満が単なる体重過多ではなく、他の深刻な健康問題を引き起こしている、あるいはそのリスクが極めて高い「肥満症」と診断され、減量が医学的に必須であると判断された場合です。
保険適用となる主な条件は以下の通りです。

  • 高度肥満: BMI (Body Mass Index: 体重kg ÷ 身長m ÷ 身長m) が35以上の「高度肥満」と診断された場合。
  • 肥満に関連する健康障害: BMIが25以上(日本肥満学会の基準では肥満)であり、かつ以下のいずれかの健康障害を合併している場合

    • 2型糖尿病または耐糖能異常
    • 高血圧症
    • 脂質異常症(高コレステロール血症、高中性脂肪血症など)
    • 高尿酸血症・痛風
    • 冠動脈疾患(心筋梗塞、狭心症)
    • 脳梗塞・一過性脳虚血発作
    • 非アルコール性脂肪性肝疾患 (NAFLD/NASH)
    • 月経異常・不妊
    • 睡眠時無呼吸症候群・肥満低換気症候群
    • 運動器疾患(変形性膝関節症、変形性股関節症など)
    • 肥満関連腎臓病

これらの条件を満たした場合でも、保険適用となる治療法は限られています。
主に、医師や管理栄養士による食事療法・運動療法の指導、特定の薬剤(例:食欲抑制剤サノレックスはBMI35以上などの条件付き、肥満症治療薬として承認されたGLP-1製剤ウゴービはさらに厳しい基準あり)、重症例に対する肥満外科手術(バリアトリック手術)などが対象となり得ます。

多くの人がイメージする「クリニックで受ける最新の薬や機器を使ったダイエット」の大部分は、これらの厳格な基準には該当せず、自由診療となるのが実情です。
自身の状況が保険適用の可能性があるかどうかについては、肥満治療を専門とする医師に相談し、正確な診断と判断を仰ぐ必要があります。
期待値を適切に管理し、基本的には自己負担となることを前提に計画を立てることが賢明です。

当院では、初診・再診の診察料は一切無料で、費用はお薬代のみとなります。
さらに、全国どこへでもお薬の送料は無料です。
例えば、リベルサス 3mg 100錠は送料込みで20,000円、マンジャロは用量に応じて10,000円~30,000円(2キット)と明瞭な料金設定です。
PayPay、クレジットカード、銀行振込でのお支払いが可能で、追加費用は一切かかりません。
現在の医療ダイエットの費用負担にお悩みの方は、一度ご相談ください。

医療ダイエットの副作用・注意点

医療ダイエットは医学的根拠に基づいた効果的なアプローチですが、使用される薬剤や医療機器は体に作用するものであるため、潜在的な副作用やリスクが伴います。
治療を安全に進め、期待される効果を得るためには、これらの副作用と注意点を十分に理解し、適切に対処することが不可欠です。

主な副作用一覧

医療ダイエットで用いられる治療法ごとに、起こりうる主な副作用は異なります。
副作用の現れ方や程度には個人差がありますが、一般的なものを以下にまとめます。

治療法/薬剤クラス 主な副作用 頻度・特徴 基本的な対処法
GLP-1受容体作動薬 吐き気、嘔吐、下痢、便秘、腹部不快感 比較的多い。特に治療初期。徐々に軽減することも。 低用量から開始、少量頻回の食事、消化の良い食事、水分補給。症状が強い/持続する場合は医師に相談。
(リベルサス, オゼンピック, サクセンダ, マンジャロ) 低血糖 他の糖尿病薬併用時にリスク増。 血糖値モニタリング、ブドウ糖携帯。医師に相談。
稀:急性膵炎, 胆石症・胆嚢炎, 腸閉塞 重篤な可能性あり。 持続する激しい腹痛、嘔吐などがあれば直ちに医療機関へ。
SGLT2阻害薬 尿路感染症、性器カンジダ症 比較的多い。尿糖増加による。 十分な水分補給、陰部の清潔保持。症状あれば医師に相談。
(フォシーガ, カナグル等) 脱水、口渇、めまい 尿量増加による。高齢者や利尿薬併用者は注意。 十分な水分補給。シックデイ(食事がとれない時)は休薬検討。
稀:ケトアシドーシス 重篤な可能性あり。血糖値が正常近くても起こりうる。 吐き気、嘔吐、腹痛、倦怠感、呼吸困難などあれば直ちに医療機関へ。
脂肪吸収阻害薬 油性便、脂肪便、油漏れ、放屁、便意切迫 非常に多い。脂肪摂取量に依存。 脂肪摂取量の調整、ナプキン・パッド使用。
(オルリファスト, ゼニカル) 脂溶性ビタミン(A,D,E,K)吸収低下 長期使用でリスク。 マルチビタミンサプリメントの服用(薬剤服用と時間をずらす)。
食欲抑制剤 口渇、便秘、不眠 多い。 水分補給、生活リズム調整。医師に相談。
(サノレックス) 動悸、血圧上昇、めまい、いらいら感 注意が必要。 投与期間・用量厳守。自動車運転等避ける。
依存性 重大なリスク。 短期使用(最大3ヶ月)厳守。医師の厳重管理。
稀:肺高血圧症 重篤な可能性あり。 労作時呼吸困難、胸痛などあれば直ちに医療機関へ。
漢方薬 胃部不快感、食欲不振、吐き気、下痢、腹痛 体質による。 体質に合わない場合は中止。医師・薬剤師に相談。
(防風通聖散など) 皮膚症状(発疹、かゆみ) 過敏症。 中止し医師に相談。
稀:間質性肺炎, 偽アルドステロン症, 肝機能障害 重篤な可能性あり。 咳、息切れ、むくみ、血圧上昇、倦怠感、黄疸などあれば直ちに医療機関へ。
医療機器 施術部位の赤み、腫れ、内出血、痛み、筋肉痛 一時的。数日~1週間程度で軽快することが多い。 通常は自然軽快。持続する場合は医師に相談。
(脂肪冷却, EMS, HIFEM) 感覚鈍麻、しびれ(特に脂肪冷却) 一時的。数週間で軽快することが多い。 通常は自然軽快。
稀:凍傷、神経損傷(不適切な使用時), 皮膚の色素沈着, 硬結, 逆説的脂肪過形成(脂肪冷却) まれだが起こりうる。 信頼できる医療機関で施術を受ける。異常時は医師に相談。

多くの一般的な副作用は、治療を継続する中で体が慣れたり、用量を調整したり、対症療法を行ったりすることで管理可能です。
例えば、GLP-1作動薬の消化器症状は、低用量からゆっくり増量し、食事内容を工夫することで軽減できる場合があります。
SGLT2阻害薬による感染症リスクは、水分補給と衛生管理で低減できます。
オルリファストの油漏れは、吸収パッドの使用や脂肪摂取量の調整で対応可能です。

しかし、中には急性膵炎やケトアシドーシス、肺高血圧症、重篤なアレルギー反応など、稀ではあるものの重篤な副作用も報告されています。
これらの兆候(例:持続する激しい腹痛、意識障害、呼吸困難、胸痛など)が見られた場合は、直ちに薬剤の使用を中止し、速やかに医療機関を受診する必要があります。

副作用は決して軽視できませんが、その多くは予測可能であり、適切な医学的管理下であれば対処可能です。
重要なのは、起こりうる副作用について事前に十分な説明を受け、自身の体調変化に注意を払い、異常を感じたらすぐに医師に相談することです。
この点からも、専門的な知識と経験を持つ医師による監督の重要性が強調されます。

当院では、お薬が合わない時や副作用が出た時は、速やかにお問い合わせいただければ、医師が症状の内容を確認し、必要に応じてお薬の変更や対処法をご案内します。
オンライン診療でも迅速な対応が可能ですので、安心してご相談ください。

リスクと対策

医療ダイエットには、副作用以外にも注意すべきリスクが存在します。
これらのリスクを理解し、適切な対策を講じることが、安全かつ効果的な治療のために不可欠です。

  • 個人輸入の危険性: 費用を抑えたいなどの理由から、処方箋医薬品を海外から個人輸入したり、インターネット上の非正規ルートで購入したりすることは、極めて危険です。主なリスクは以下の通りです。

    • 偽造品・粗悪品: 有効成分が含まれていない、含有量が異なる、不純物や有害物質が混入している、不衛生な環境で製造されているなどの可能性があります。見た目では真偽の区別が困難です。
    • 健康被害: 期待した効果が得られないだけでなく、予期せぬ重篤な副作用や健康被害、場合によっては死亡に至る事例も報告されています。
    • 医学的サポートの欠如: 医師の診断や適切な用法・用量の指導、副作用発生時の対処法などが得られません。
    • 公的救済制度の対象外: 個人輸入した医薬品による健康被害は、日本の医薬品副作用被害救済制度の対象となりません。
    • 対策: 医療ダイエット薬は、必ず信頼できる医療機関を受診し、医師の診察・処方のもとで入手・使用することが唯一の安全策です。
  • 極端な食事制限のリスク: 早く結果を出したいという焦りから、医療ダイエットと並行して極端な食事制限を行うこともリスクを伴います。

    • 過度なカロリー制限: 栄養失調、筋肉量の減少による代謝低下、体調不良、リバウンドのリスクを高めます。持続可能性も低くなります。
    • 極端な糖質制限: 適度な糖質制限は有効な場合がありますが、極端な制限は、食物繊維不足による便秘、必須栄養素の欠乏、筋肉量や骨密度の低下、腎臓への負担増加、ケトン体増加による体調不良(ケトアシドーシスリスク、特にSGLT2阻害薬併用時)、口臭・体臭、低血糖症状(集中力低下、イライラ、頭痛など)などのリスクがあります。長期的な健康への影響も懸念されています。特に高齢者、妊娠・授乳婦、成長期の子供には推奨されません。
    • 対策: 自己判断での極端な食事制限は避け、医師や管理栄養士の指導のもと、バランスの取れた適切な食事計画を立てることが重要です。
  • 禁忌・慎重投与: 特定の持病(膵炎、重度の胃腸障害、腎機能障害、心疾患、甲状腺疾患、精神疾患など)や状態(妊娠・授乳中、特定の薬剤との併用)によっては、医療ダイエットの治療が受けられない、あるいは慎重な判断が必要となる場合があります。

    • 対策: 治療開始前に、必ず医師に自身の既往歴、現在の健康状態、服用中の薬剤などを正確に伝え、治療の適否を判断してもらう必要があります。

これらのリスクに対する最も確実な対策は、医療ダイエットを「自己流」で行わず、必ず資格のある医師の監督下で、正規の医療機関を通じて行うことです。
適切なアセスメント、患者教育、定期的なモニタリング、そして副作用や問題発生時の迅速な対応が、安全性を確保する上で不可欠です。
利便性や費用も重要ですが、何よりも自身の健康と安全を最優先するべきです。

まとめ

医療ダイエットで痩せないとお悩みの場合、その背景には食事や運動、薬剤の使用法など多角的な要因が関与しています。
正確なカロリー管理と栄養バランスの見直し、適切な運動習慣の導入により、薬の効果を最大限に引き出すことが重要です。

また、GLP-1受容体作動薬などの服用方法を医師の指示通りに守ることで、吸収効率を最大化できます。
症状に合わせた治療法の選択や、定期的な医師とのコミュニケーションも成功への鍵となります。

現在のクリニックで医療ダイエットをしているのに効果が出ない場合は、治療法の見直しが必要かもしれません。
当院では、日本肥満学会員の院長による専門的なオンライン診療で、あなたに合った治療法を提案します。
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医療ダイエットで痩せないとお悩みの方は、ぜひ一度当院までお問い合わせください。
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