目次

リベルサスは、食欲を抑え自然な体重減少を促すGLP-1受容体作動薬として注目されています。
しかし、その強い効果ゆえに「痩せすぎてしまうのでは?」という不安を持つ方も少なくありません。
急激な減量は体調不良やホルモンバランスの乱れを招き、健康を損なうリスクがあるため注意が必要です。
本記事では、リベルサスによる痩せすぎの可能性や健康被害、適切な減量ペースの目安、安全に続けるための工夫について解説します。
安心して治療を継続するために、正しい知識を持ちましょう。

リベルサスとは?ダイエット効果と作用メカニズム

リベルサスは、その画期的な作用メカニズムにより、従来のダイエット方法とは一線を画す効果を発揮します。
しかし、その効果の高さこそが「痩せすぎ」への懸念を生む要因でもあるのです。

リベルサスの基本情報とGLP-1受容体作動薬としての役割

リベルサスは、有効成分セマグルチドを含有するGLP-1受容体作動薬です。
GLP-1は食事摂取に伴い小腸から分泌される「インクレチン」というホルモンの一種で、血糖値のコントロールに関与します。
リベルサスはこのGLP-1の作用を模倣し、体内で分解されにくいように設計されているため、長時間にわたり食欲抑制や血糖コントロール効果を持続させます。
注射剤が主流であったGLP-1受容体作動薬の中で、世界で初めて開発された経口薬(飲み薬)であり、治療のハードルを下げた点で画期的です。
日本国内では、2型糖尿病の治療薬として厚生労働省から承認されています。
したがって、肥満治療やダイエット目的での使用は承認された効能・効果の範囲外(適応外使用)となり、自由診療として扱われます。
適応外使用であるため、万が一重篤な副作用による健康被害が生じた場合、公的な補償制度である「医薬品副作用被害救済制度」の対象外となる可能性が極めて高い点は、治療を受ける上で必ず認識しておくべき重要なリスクです。

食欲抑制効果と満腹感持続の仕組み

リベルサスの食欲抑制効果は、主に2つの作用機序によります。
まず、中枢神経への作用として、脳の視床下部や延髄孤束核に存在するGLP-1受容体に作用し、満腹中枢を刺激することで、生理的な食欲そのものを低下させます。
これにより、無理に我慢することなく、自然に食事量を減らすことが可能になります。
次に、消化管への作用として、胃の蠕動運動を緩やかにし、胃内容物排出を遅延させる作用があります。
食べたものが胃に長く留まるため、物理的な満腹感が持続し、空腹を感じにくくなります。
また、食後の血糖値の急激な上昇を抑制する効果ももたらします。
実際の使用者からは、「自然と食事量をセーブできるようになった」「以前より少ない食事量で満足できるようになった」といった声が多く報告されています。
これは、薬理作用が体感として現れていることを示唆しています。
ただし、胃内容物排出遅延作用は、満腹感をもたらす一方で、副作用である吐き気、胃もたれ、便秘、腹部膨満感といった消化器症状の直接的な原因ともなります。
これらの症状は特に服用初期に現れやすいという特徴があります。

血糖値コントロールが痩せすぎを防ぐ理由

リベルサスの作用メカニズムには、痩せすぎを抑制する内因性の安全装置が組み込まれています。
それは「血糖依存性」のインスリン分泌促進作用です。
具体的には、食事などにより血糖値が上昇した際にのみ、膵臓のβ細胞に働きかけてインスリン分泌を促します。
逆に、血糖値が正常範囲内にある時や低い時には、インスリン分泌を促す作用が弱まります。
この仕組みにより、薬が血糖値を過剰に下げ続けることを防ぎ、重篤な低血糖のリスクを低減しています。
日本糖尿病学会なども、GLP-1受容体作動薬は単独使用の場合、低血糖を起こしにくい薬剤であるとの見解を示しています。
ただし、これはあくまで血糖値に対する作用機序であり、他の糖尿病治療薬(特にSU薬やインスリン製剤)との併用や、極端な糖質制限、過度な運動が加わると低血糖のリスクは増大するため注意が必要です。
この「血糖依存性」のメカニズムは、あくまで血糖値を安定させるためのものであり、体重を一定に維持する機能ではありません。
薬の作用とは別に、過度な食事制限や運動によって摂取カロリーが極端に不足すれば、当然ながら痩せすぎは起こり得ます。
「薬が自動的に理想体重でストップしてくれる」という誤解は危険であり、体重管理は自己の責任と医師の指導のもとで行う必要があります。

リベルサスで「痩せすぎ」は起こるのか?適正な体重減少の目安

リベルサスによる「痩せすぎ」のリスクを正しく理解するためには、まず急激な体重減少がもたらす健康への影響を知ることが重要です。

急激な体重減少がもたらす健康リスク

急激かつ過度な体重減少は、身体に多大なストレスを与え、様々な健康リスクを誘発します。
最も深刻なのは栄養失調とそれに伴う諸症状です。
エネルギーだけでなく、タンパク質、ビタミン、ミネラルが不足し、筋肉量の低下による基礎代謝の悪化、免疫力の低下、鉄欠乏性貧血、髪のパサつきや抜け毛、肌荒れなどを引き起こします。
特に女性において深刻なのが、ホルモンバランスの破綻です。
体脂肪は女性ホルモン(エストロゲン)の生成に不可欠であり、体脂肪率が急激に低下するとエストロゲンの分泌が減少し、脳の視床下部からの指令が乱れ、月経不順や無月経(体重減少性無月経)に至るリスクが高まります。
エストロゲンには、骨を破壊する破骨細胞の働きを抑制し、骨密度を維持する重要な役割があります。
エストロゲンの分泌が低下すると、骨吸収が骨形成を上回り、若年であっても骨粗しょう症のリスクが増大します。
さらに、急激な体重減少は、胆汁の成分バランスを変化させ、胆石が形成されやすくなることが知られています。
GLP-1受容体作動薬の副作用としても報告されており、特に注意が必要です。
厚生労働省や農林水産省などの公的機関も、若い女性を中心に広がる「やせ」の問題や、無理なダイエットがもたらす健康被害について警鐘を鳴らしています。
低体重(BMI 18.5未満)の女性から生まれる新生児は、低出生体重児となるリスクが高いことも指摘されています。

安全な減量ペースと痩せすぎを避ける目安

人間の身体には、急激な体重減少(飢餓状態)に陥ると、生命を維持するためにエネルギー消費を抑えようとする「ホメオスタシス(恒常性)」機能が備わっています。
一般的に、1ヶ月に現体重の5%を超えるペースで体重が減少すると、この機能が作動し、代謝が低下して体重が減りにくい「停滞期」に入りやすくなります。
より安全で持続可能な減量ペースは、1ヶ月あたり現体重の0.5%〜1%程度とされています。
例えば、体重が70kgの人の場合、1ヶ月の減量目標は最大でも3.5kg(5%)、より安全な範囲としては0.35kg〜0.7kgとなります。
リバウンドを防ぎ、健康的に痩せるためには、短期間での劇的な変化を求めず、長期的な視点で計画を立てることが極めて重要です。
リベルサス服用中もこの原則は変わらず、万が一このペースを大幅に超えて体重が減少し続ける場合は、食事内容の見直しや、医師との用量調整の相談が必要となります。
急激なダイエットは、停滞期を招くだけでなく、ホルモンバランスの乱れによる肌荒れや月経異常など、前述の健康リスクを誘発します。
美と健康のために始めたダイエットが、かえってそれらを損なう結果にならないよう、適切なペースを守ることが不可欠です。

健康的な目標体重の設定方法(BMI基準含む)

客観的な指標としてBMI(Body Mass Index:体格指数)を用いることが推奨されます。
BMIは、体重と身長の関係から肥満度を示す国際的な指標であり、計算式は体重(kg) ÷ (身長(m))² です。
日本肥満学会が定める判定基準では、BMIが18.5未満を「低体重(やせ)」、18.5以上25未満を「普通体重」、25以上を「肥満」と分類しています。
統計的に最も疾病率が低いとされる「標準体重」は BMI 22 とされています。
また、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」では、年代別の目標とするBMIの範囲も示されており、例えば18〜49歳では18.5〜24.9が目標とされています。
ダイエットの目標を設定する際は、まずBMI 25未満の「普通体重」の範囲に入ることを目指すべきです。
美容的な観点からさらに減量を望む場合でも、健康を損なうリスクが急増するBMI 18.5を下回ることは絶対に避けるべきです。
最終的な目標としては、最も健康的な状態とされるBMI 22前後を維持することが理想的と言えます。

リベルサスで痩せすぎ・急激な体重減少を引き起こす要因

リベルサスによる痩せすぎは、薬の特性と使用者の行動が複合的に作用することで起こります。
その要因を正しく理解することで、適切な対策を講じることができます。

不適切な高用量服用と体質による個人差

リベルサスの食欲抑制効果や副作用の現れ方には、顕著な個人差が存在します。
同じ用量(例:7mg)を服用しても、効果をほとんど感じない人もいれば、食欲が極端に抑制されてしまう人もいます。
これは、遺伝的背景や体内のGLP-1受容体の感受性の違いなどが影響していると考えられます。
医師の指導を無視し、効果を急ぐあまり自己判断で高用量(例:初回から7mgや14mg)を服用したり、個人輸入で入手した薬剤を使用したりする行為は極めて危険です。
痩せすぎのリスクはもちろん、重篤な消化器症状や低血糖といった副作用の発現率を著しく高めます。
リベルサスの投与は、副作用への忍容性を確認しながら、必ず3mgから開始し、4週間以上の間隔を空けて段階的に増量するという用量漸増法を遵守しなければなりません。

過度な食事制限や運動の併用が痩せすぎを招く

リベルサスはあくまで食事摂取量を自然に減らすための「補助」です。
その効果に加えて、自己判断で極端な食事制限(例:1日の摂取カロリーを極端に減らす、特定の栄養素を完全に抜くなど)や、消費カロリーの大きい過度な運動を併用すると、摂取エネルギーと消費エネルギーのバランスが大きく崩れ、急激な体重減少、すなわち痩せすぎを招きます。
このような「薬」と「過度な自己努力」の組み合わせは、痩せすぎだけでなく、重篤な低血糖を引き起こす最も危険なパターンの一つです。
特に、空腹状態での激しい運動は血糖値を急激に低下させるため、リベルサスの血糖降下作用と相まって、意識障害などの危険な状態に陥る可能性があります。
リベルサス服用中は、過度な制限ではなく「バランスの取れた食事」と「適度な運動」を心がけるべきです。

他の疾患や薬剤が体重減少に与える影響

予期せぬ体重減少の背景に、未診断の疾患が隠れている可能性があります。
例えば、甲状腺機能亢進症(バセドウ病)、吸収不良症候群、悪性腫瘍(がん)などは、体重減少を主症状とすることがあります。
また、服用中の他の薬剤が影響することもあります。
特に、他の糖尿病治療薬(インスリン製剤、スルホニルウレア(SU)薬など)とリベルサスを併用する場合、血糖降下作用が重なることで低血糖のリスクが著しく増大します。
日本肥満学会や日本糖尿病学会は、GLP-1受容体作動薬を他の血糖降下薬と併用する際には、低血糖のリスクを避けるために併用薬の減量を検討する必要があるとしており、糖尿病専門医との緊密な連携が不可欠であると強調しています。
リベルサスの処方を受ける前には、既往歴、現在の健康状態、そしてサプリメントを含む服用中の全ての薬剤を正確に医師に申告することが、安全な治療の第一歩です。

リベルサスで「痩せない」と感じる人がいるのはなぜ?

リベルサスによる痩せすぎへの懸念がある一方で、期待した効果が得られない「痩せない」と感じる方も少なくありません。
その原因を理解することで、より効果的な使用方法を見つけることができます。

正しい服用方法が守れていないケース

リベルサスの有効成分セマグルチドは、胃で分解されやすいペプチドホルモンです。
経口で効果を発揮させるため、吸収促進剤「SNAC」が配合されていますが、その吸収は非常にデリケートであり、厳格な服用ルールを守らないと効果が著しく減弱します。
最も多い「痩せない」原因は、このルールの不徹底です。
まず、タイミングについて、1日のうちの最初の飲食前(起床直後など)の完全な空腹時に服用する必要があります。
胃に内容物があると吸収が妨げられます。
次に、水の量についてですが、コップ半分(約120mL)以下の水で服用します。
水の量が多すぎると、胃の中で薬剤の濃度が薄まり、吸収効率が低下します。
服用後の待機時間も重要で、服用後、最低でも30分間は、飲食(水を含む)および他の薬剤の経口摂取を避ける必要があります。
臨床データでは、この待機時間が短いほど血中濃度が低下することが示されています。
また、錠剤の扱いについて、錠剤を分割したり、粉砕したり、噛み砕いたりしてはなりません。
コーティングが壊れ、有効成分が胃酸で分解されてしまいます。
製薬会社(MSD)が提供する服薬指導箋でも、これらの厳格な服用方法が吸収を最大化し、期待される効果を得るために不可欠であることが繰り返し強調されています。
このルールは「推奨」ではなく、効果を得るための「必須条件」と理解すべきです。

食生活の乱れや極端な運動不足

リベルサスは食欲を抑制しますが、摂取カロリーをゼロにするわけでも、消費カロリーを劇的に増やすわけでもありません。
薬の効果で食事量が多少減ったとしても、その内容が高カロリー・高脂肪・高糖質なもの(例:ファストフード、スナック菓子、清涼飲料水)に偏っていれば、総摂取カロリーが消費カロリーを容易に上回り、体重は減少しません。
また、日常的に全く運動をせず、基礎代謝が極端に低い場合、食事量の減少だけでは十分なカロリー収支のマイナスが生まれず、効果を実感しにくくなります。
薬の服用を「ダイエットのスタート」と捉え、これを機に食生活を見直し、適度な運動を習慣づけることが成功への王道です。
薬はあくまで、その努力をサポートしてくれる強力なツールと位置づけるべきです。

リベルサスの用量が少ない、または体質的に向いていない可能性

リベルサスの体重減少効果は、用量に比例して高まる傾向があります。
とある臨床試験では、26週時点でのプラセボと比較した体重減少量は、3mg群では有意差がなく、7mg群で-0.9kg、14mg群で-2.3kgと、用量が多いほど効果が高くなりました。
したがって、導入用量である3mgや、中間用量の7mgで効果を感じられない場合、単に用量が不足している可能性があります。
一方で、体質的な不適合もあり得ます。
そもそも肥満の原因が「過食」ではない場合、リベルサスの効果は限定的となります。
例えば、ストレスによる過食や、他の疾患・薬剤の副作用による体重増加、代謝異常などが原因の場合、食欲抑制だけでは根本的な解決にならない場合があります。
また、元々痩せ型の人や、標準体重に近い人がさらに数kgの減量を目的とする場合、体重減少の幅は小さくなる傾向があります。
効果が実感できないからといって、自己判断で服用量を増やす(例:3mg錠を2錠飲むなど)ことは絶対に避けるべきです。
副作用のリスク管理のため、用量の変更は必ず医師の診察と指示のもとで行わなければなりません。

リベルサスで安全かつ効果的に減量するための対策

リベルサスを用いた減量を成功させ、痩せすぎのリスクを回避するためには、正しい知識に基づいた対策が不可欠です。

リベルサスの正しい服用方法を徹底する

薬の効果を最大限に引き出すため、前述の厳格な服用ルールを生活の一部として定着させることが重要です。
「朝起きたら、まずリベルサスを飲む」という習慣を確立すると良いでしょう。
例えば、就寝前に枕元にリベルサス1錠と、120mLを計量した水の入ったコップを準備しておく方法が有効です。
服用後の30分間は、単に待つだけでなく、自身の体調を観察する時間と捉えることが望ましいです。
特に、低血糖の初期症状(めまい、冷や汗など)がないかを確認するためにも、二度寝は絶対に避けるべきです。
この時間に身支度や軽い家事を行うなど、活動的なルーティンを組むと良いでしょう。

医師と相談し適切な用量と治療プランを調整する

メディカルダイエットは、単に薬を処方されて終わりではなく、医師との継続的なコミュニケーションを通じて進める医療行為です。
定期的にクリニックを受診し、以下の情報を正確に共有することが重要です。
体重と体組成の変化については、定期的に体重を測定し、記録します。
副作用の有無と程度について、吐き気や便秘などの症状があれば、その頻度や強さを具体的に伝えます。
食事や運動の状況については、生活習慣の改善努力について報告します。
これらの情報に基づき、医師は効果が不十分であれば増量を検討し、逆に体重が急激に減少しすぎている場合や副作用が強い場合には減量や一時休薬を指示するなど、個々の状況に合わせた最適な治療プランを調整します。
自己判断を避け、専門家である医師をパートナーとして治療を進める意識が、安全かつ効果的な減量につながります。

バランスの取れた食事と適度な運動の重要性

リベルサスによって食事量が減るからこそ、その質が重要になります。
食事については、筋肉量を維持し基礎代謝を低下させないために高タンパク質(鶏胸肉、魚、大豆製品など)、腸内環境を整え満腹感を得るために食物繊維(野菜、きのこ、海藻など)、そして代謝を助けるビタミン・ミネラルを意識した、栄養バランスの取れた食事を心がけることが大切です。
専門的なアドバイスが必要な場合は、管理栄養士による食事指導を受けることも非常に有効です。
運動については、減量の効率を高め、健康的な身体を作るためには運動が不可欠です。
特に、脂肪燃焼に効果的な有酸素運動(ウォーキング、ジョギング、水泳など)を週に150分程度行うことが推奨されます。
急激な血糖値の低下を招く可能性がある高強度の無酸素運動(激しい筋トレ)は、特に治療初期は慎重に行うべきです。

リベルサス治療の長期間継続が成功の鍵

リベルサスは即効性のある薬剤ではありません。
その効果は緩やかに現れ、体重減少が明確に観察され始めるまでには3ヶ月から6ヶ月程度の期間を要することが臨床試験でも示されています。
服用開始後、数週間から1ヶ月程度で「痩せない」と焦り、自己判断で服用を中止してしまうと、薬剤の効果を十分に得る機会を失うだけでなく、抑制されていた食欲が急に戻ることによるリバウンドのリスクを高めてしまいます。
治療の成否は、薬剤の効果だけに依存するものではありません。
少なくとも3〜6ヶ月の服用期間を、新しい健康的な食生活と運動習慣を確立するための「トレーニング期間」と位置づけることが重要です。
この期間に痩せやすい体質と生活リズムを身につけることで、将来的にリベルサスの服用を終了した後も、体重を自己管理で維持できる可能性が高まります。

リベルサス服用時に注意すべき副作用とリスク

リベルサスによる痩せすぎを防ぐためには、起こりうる副作用を正しく理解し、適切に対処することが重要です。

吐き気、下痢、便秘などの消化器症状

消化器症状は、リベルサス服用において最も頻繁に報告される副作用です。
医薬品の添付文書によると、臨床試験において悪心(吐き気)と下痢は5%以上の頻度で認められています。
その他、便秘、嘔吐、腹部不快感、消化不良、腹部膨満なども1〜5%未満の頻度で報告されています。
これらは主に、リベルサスの胃内容物排出遅延作用に起因します。
これらの症状の多くは、体が薬に慣れていない服用開始初期(特に最初の1〜4週間)に現れやすく、一過性のものであることが多いです。
用量を3mgから開始し、段階的に増量していくことで、これらの副作用を最小限に抑えることができます。
症状を緩和するための対策として、脂っこい食事や香辛料の強い食事を避ける、一度にたくさん食べず、少量ずつよく噛んで食べる、食後すぐに横にならない、下痢や嘔吐がある場合は脱水を防ぐためにこまめに水分補給をする、といった工夫が有効です。
症状が日常生活に支障をきたすほど強い場合や、長期間改善しない場合は、自己判断で我慢せず、処方医に相談することが重要です。

低血糖のリスクと二度寝を避ける理由

リベルサスは血糖依存的に作用するため、単独使用での重篤な低血糖のリスクは低いとされています。
しかし、リスクがゼロではありません。
特に、インスリン製剤やSU薬など他の血糖降下作用を持つ糖尿病薬との併用、極端な糖質制限や欠食、過度なアルコール摂取、激しい運動、といった要因が重なると、低血糖のリスクは有意に高まります。
低血糖の初期症状には、冷や汗、動悸、手の震え、強い空腹感、めまい、脱力感などがあります。
「二度寝」の危険性について説明します。
リベルサスは起床後の空腹時に服用するため、服用後に再び寝てしまう「二度寝」は特に危険です。
睡眠中は、低血糖の初期症状に気づくことができません。
そのため、自覚症状がないまま血糖値が下がり続け、けいれんや意識障害、昏睡といった重篤な状態に陥るリスクがあります。
このため、服用後の少なくとも30分間は、覚醒した状態で安静に過ごし、自身の体調変化に注意を払うことが強く推奨されます。
低血糖症状が認められた場合は、速やかにブドウ糖10g程度、または砂糖やブドウ糖を含むジュースなどを摂取する必要があります。
α-グルコシダーゼ阻害薬を併用している場合は、砂糖では効果が遅れるため必ずブドウ糖を摂取します。
治療中は、万が一に備えてブドウ糖や飴などを携帯することが望ましいです。

稀に起こる重大な副作用(急性膵炎、胆嚢炎など)

頻度は極めて低いものの、生命に関わる可能性のある重大な副作用として以下のものが報告されています。
急性膵炎については、添付文書における頻度は0.1%です。
膵臓に急性の炎症が起こる疾患で、「嘔吐を伴う持続的な激しい上腹部痛」が典型的な初期症状です。
痛みは背中に放散することもあります。
過去に膵炎の既往歴がある場合は、発症リスクが高まる可能性があるため、原則としてリベルサスは使用できません。
胆嚢関連疾患については、胆嚢炎、胆管炎、胆石症、胆汁うっ滞性黄疸などが含まれます。
主な症状は、右上腹部の痛み、発熱、黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)などです。
急激な体重減少が胆石形成の誘因となる可能性も指摘されています。
日本消化器病学会などが策定する急性膵炎の診断基準では、特徴的な腹痛、血中または尿中の膵酵素(アミラーゼ、リパーゼ)の上昇、画像検査(CTなど)での異常所見、のうち2項目以上を満たすことで診断されます。
これらの副作用を疑う「レッドフラグサイン(危険信号)」が見られた場合は、直ちにリベルサスの服用を中止し、速やかに医療機関(救急外来など)を受診しなければなりません。

リベルサスの効果はいつから?期待できる体重減少量と期間

リベルサスによる痩せすぎのリスクを理解するうえで、薬の効果発現の時期と程度を知ることは重要です。

臨床試験データから見るリベルサスの減量効果

リベルサスの有効性と安全性は、PIONEERと名付けられた一連の大規模な国際共同臨床試験プログラムによって検証されています。
これらは主に2型糖尿病患者を対象として行われました。
とある試験(26週間、単独療法)では、リベルサス14mgを服用した群では、プラセボ(偽薬)群と比較して-2.3kgの有意な体重減少が認められました。
別の試験(52週間、注射剤との比較)では、リベルサス14mg群では26週時点で-4.4kgの体重減少が見られました(プラセボ群は-0.5kg)。
また、日本人を対象とした試験では、日本人2型糖尿病患者においても、海外のデータと同様に、用量依存的な体重減少効果が確認されています。
国内試験では、26週時点での体重減少量は14mg群で-2.2〜-2.4kgでした。
実臨床データでは、日本国内の実際の診療環境下での使用状況を調査した研究で、治療開始から約6ヶ月後の平均体重変化は-2.8kgでした。
これらのデータから、リベルサスは半年程度の服用で平均して2〜4kg程度の体重減少効果が期待できることが科学的に示されています。
これらの数値はあくまで平均値であり、効果には大きな個人差があることを理解する必要があります。
また、試験の対象者は主に2型糖尿病患者であり、そのベースライン体重(平均約93kgの試験もある)や生活習慣が、ダイエット目的で使用する非糖尿病者とは異なる可能性がある点にも留意が必要です。

1ヶ月あたりの体重減少の目安と個人差

リベルサスの効果発現は緩やかです。
多くの使用者において、体重減少などの効果を体感し始めるのは、服用開始から1ヶ月〜3ヶ月が経過した頃です。
特に服用開始直後は、効果よりも副作用である吐き気などを先に感じる場合が多いです。
臨床試験においても、有意な体重減少が確認されるのは3ヶ月程度の時点であり、スタート時の体重から3〜5%程度の減少が一つの目安となります。
一部のクリニックが公開している症例報告では、臨床試験の平均値を大幅に上回る減量(例:4ヶ月で11.5kg減、3ヶ月で6.7kg減など)を達成したケースが紹介されています。
しかし、これらは薬の服用に加えて、本人の強い意志による食事管理や運動習慣の改善が伴った「成功事例」であり、誰もが同様の結果を得られるわけではないと理解することが重要です。

効果を実感しやすい人の特徴

臨床経験や薬理作用から、以下のような特徴を持つ人はリベルサスの体重減少効果を実感しやすいと考えられます。
BMIが高く、元の体重が重い人は、減量できる幅が大きいため、効果が目に見えやすいです。
肥満の原因が「過食」にある人は、薬の主作用である食欲抑制効果が、根本原因に直接アプローチするため効果的です。
正しい服用方法を厳密に守れる人は、薬の吸収率を最大化できるため、効果を十分に引き出せます。
生活習慣の改善を並行して行える人は、薬のサポートを活かし、食事内容の見直しや適度な運動を取り入れることで、相乗効果が期待できます。

メディカルダイエットにおけるリベルサスの位置づけと保険適用

リベルサスの適正使用を理解するためには、その承認状況と診療形態について正しく知る必要があります。

リベルサスは2型糖尿病治療薬として承認済み

日本において、リベルサス(一般名:セマグルチド)が厚生労働省から製造販売承認を得ている効能・効果は、「2型糖尿病」のみです。
食事療法や運動療法で十分な効果が得られない場合に、血糖コントロールを改善する目的で使用されます。
肥満症に対する適応は、現時点(2024年時点)では承認されていません。

肥満治療目的での自由診療と注意点

2型糖尿病の診断がない人に対して、肥満改善やダイエットを目的としてリベルサスを処方することは、保険適用外の自由診療(自費診療)となります。
これは、医師がその専門的裁量に基づき、承認された効能・効果以外の目的で医薬品を使用する「適応外使用」にあたります。
自由診療、特にオンライン診療の普及に伴い、消費者トラブルが急増しています。
国民生活センターには、「副作用の説明が不十分だった」「高額な定期購入契約になっていた」「解約に応じてもらえない」といった相談が多数寄せられています。
自由診療は公的な価格統制がなく、医療機関が自由に価格を設定できるため、情報収集と比較検討を慎重に行う必要があります。
手軽さや安価な広告だけに惹かれず、医師による適切な診察やアフターフォロー体制が整っているかを見極めることが重要です。
厚生労働省や日本糖尿病学会、日本肥満学会は、GLP-1受容体作動薬の美容・痩身目的での安易な使用に対して、繰り返し注意喚起を行っています。
その背景には、不適切な使用による健康被害のリスク(重篤な副作用など)、ダイエット目的の需要増大による薬剤の供給不足が生じ、本来治療を必要とする2型糖尿病患者に行き渡らなくなることへの強い懸念があります。

マンジャロなど他のGLP-1製剤との比較

メディカルダイエットで使用されるGLP-1関連製剤には、リベルサス以外にもいくつかの選択肢があります。
オゼンピック(セマグルチド)は、リベルサスと同一の有効成分を持つ週1回投与の注射薬です。
経口薬か注射薬かという投与経路の違いが最大の特徴で、効果はほぼ同等とされますが、注射薬の方が血中濃度が安定しやすく、より高い効果を示す傾向があるとのメタ解析結果もあります。
マンジャロ(チルゼパチド)は、GLP-1に加え、もう一つのインクレチンであるGIPにも作用する世界初のGIP/GLP-1受容体作動薬(デュアルアゴニスト)です。
週1回投与の注射薬で、日本人2型糖尿病患者を対象とした複数の臨床試験を統合したネットワークメタ解析において、リベルサスやオゼンピックよりも有意に高いHbA1c低下効果および体重減少効果を示すことが報告されています。
サクセンダ/ビクトーザ(リラグルチド)は、毎日1回投与の注射薬で、比較的古い世代の薬剤であり、体重減少効果はセマグルチドやチルゼパチドに比べてマイルドです。
これらの薬剤はいずれも強力な減量効果を持つため、適切な医師の管理下で使用することが、痩せすぎのリスクを避けるためには不可欠です。

まとめ

リベルサスは、食欲抑制作用と血糖コントロール効果により、多くの方に体重減少をもたらします。
しかし、その効果が強力であるがゆえに、無理な減量や「痩せすぎ」へつながるリスクも存在します。
特に、急激な体重減少は栄養不足や免疫低下、月経異常、骨粗しょう症など深刻な健康被害を招く可能性があります。
また、消化器症状や低血糖、まれに膵炎や胆嚢疾患といった副作用も報告されており、自己判断での高用量服用や過度な食事制限は避けなければなりません。
安全に効果を得るためには、医師の指導のもとで3mgから段階的に増量し、バランスの取れた食生活と適度な運動を組み合わせることが不可欠です。
1ヶ月あたり現体重の0.5〜1%の減量を目安にすれば、リバウンドの少ない持続的なダイエットが可能です。
また、BMI18.5未満は「痩せすぎ」とされ、健康リスクが急増するため、BMI22前後を目標とするのが望ましいでしょう。
万が一、体重が急激に減りすぎたり強い副作用が出たりした場合は、速やかに医師へ相談してください。
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